ラリースト修行の一環として、今季から母国ノルウェーのラリークロス選手権『ラリーXノルディック』に参戦を開始した15歳のオリバー・ソルベルグが、開幕デビュー戦の3位表彰台に続き、第2戦となるアルヴィカで雨混じりの難コンディションのなか、早くも初優勝を達成。600馬力越えのRXスーパーカーを難なく手なづける、ドライバーとしての資質の高さを見せつける週末となった。
スウェーデン西部ヴェルムランド近郊ウェストヴィレッジにほど近い、アルヴィカのトラックで開催された第2戦は、開幕戦より1台増加の全19台のスーパーカーが集結。いきなりトップカテゴリーからのラリークロス・デビューとなったオリバーにとって、2戦目となるイベントは雨混じりのマッドコンディションでの戦いとなった。
舞台となったアルヴィカはシリーズのなかでも高速で、かつテクニカルな要素を持ち「ドライバーのスキルにリザルトが大きく依存する」と言われる高難度トラックだが、それでも予選ヒートから順調に勝ち進んだオリバーは、当然のように6台で争われるファイナルに進出。
昨年までWorldRX世界ラリークロス選手権で父ペター・ソルベルグがドライブした、シトロエンDS3スーパーカーのセットアップを毎ヒートごとに変更しながら、マシンバランスの変化を確認する余裕を見せる。
一方、そのオリバーとトップタイムを分け合いながら週末のセッションを進めたのは、開幕戦で2位表彰台に立ったJCレーステクニークのトーマス・ブリンテソン(フォード・フィエスタRXスーパーカー)。ラリークロス界の名門であるオルスバーグMSEが実質的に運営するチームからのエントリーで、ファイナルではスタートからこの2台の一騎打ちの様相となった。
国境に近く、隣国ノルウェーからも多くの観衆が詰めかけるなか、雨が降り止まぬ状況でファイナルはスタート。ポールポジションから盤石のスタートを決めたオリバーは、そのままリードを維持していく。
2番手のブリンテソンはラップごとに視界が悪化するなか、なんとかオリバーを捉えようとジョーカーラップで攻めの走りをみせるが、ここでわずかにマシンコントロールを誤るミステイク。
本コース復帰の際にオリバーをかわすことはできず、これでノーチャンス。結局そのままのポジションでチェッカーとなり、オリバーが参戦2戦目にして初優勝をマーク。選手権でもブリンテソンを3ポイント逆転し、54ポイントで首位に躍り出た。
豪雨のなか、見事なドライビングを披露したオリバーは、ファイナル直後に父ペターと勝利を祝いつつ、「最悪に楽しかったし、とてもアメイジングだった」とティーンエイジャーらしいテンションで決勝を振り返った。
「どしゃ降りで(路面は)ドロドロだったけど、セミファイナルから路面のグリップがものすごく良くなった。だから決勝でも本当にびっくりするぐらいグリップしたんだ。それで僕はドライビングを少しアジャストしなくちゃならなかったけど、うまくいったと思う」
一方、2位に終わったブリンテソンは「雨のコンディションはいつだってハードだ。今日はスタートからその後の全周にわたってあらゆる可能性にトライしたけど、オリバーを捕まえることはできなかった」と完敗宣言。
3位には、週末を通してステーブルなドライビングを見せた大ベテランのマッツ・オーマンが入っている。
ラリーXノルディックの第3戦はスウェーデンの首都ストックホルムにあるソルバラが舞台となり、今季初のSTCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権との併催ラウンドとして開催される。