WEC世界耐久選手権に挑むTOYOTA GAZOO Racingは6月4日、ル・マン24時間耐久レース前の公式テスト、“テストデー”に参加。3台のトヨタTS050ハイブリッドがタイムシートのトップ3を独占した。
ル・マン24時間の舞台となるサルト・サーキットは公道を封鎖してレースに利用することもあり、このテストデーはレースウイーク前に唯一フルコースを走ることができるチャンス。そのため、各陣営にとっては実戦を見据えたセッティングを煮詰める重要な走行となる。
■可夢偉も乗り込む7号車トヨタが最速
午前、午後と4時間ずつ行われた練習走行は、天候に恵まれたこともあり、トヨタは3台合計で304周、4000km以上を走行。全体のトップタイムは小林可夢偉/マイク・コンウェイ/ステファン・サラザン組の7号車トヨタがマークした。
なお、7号車のベストタイム、3分18秒132は2016年のテストデーで記録されたベストタイムを約5秒上回るものだ。
「順調なスタートを切ることができました」と可夢偉。
「我々は決勝レースを想定して改善を進め、納得いくレベルに仕上げることができました。今日のラップタイムでは、テストデーでのこれまでで最速のタイムが出せたということで、競争力の高さを示すことができました」
「とはいえ、24時間という長いレースへ向けてまだやることはたくさんありますし、ライバルは強敵だということも分かっていますので、本当の勝負はこれからです」
またコンウェイは「終盤にマークしたタイムはとても自信の持てるものだったけど、ライバルも決勝レースへ向けこれから全力で車両を仕上げてくるだろう」とコメント。サラザンも「今のところ順調に見えるけど、レースは何が起こるか分からない」と気を引き締めた。
■僚友8号車トヨタは104周、9号車トヨタは106周を走破
第1戦シルバーストン、第2戦スパ・フランコルシャンと連勝中の中嶋一貴/セバスチャン・ブエミ/アンソニー・デビッドソン組8号車トヨタはマシンのセットアップとタイヤの評価作業を進め、7号車から1.158秒遅れの2番手タイムで続いた。
一貴は「ル・マンのコースに戻ってこられて嬉しいですし、今日のテストを楽しむことができました。セットアップやタイヤ評価の面で充実した1日になりました」と走行を振り返っている。
「これまでのところ、とてもいいタイムで周回を重ね、テストの結果も順調なので、この勢いをレースウイークまで繋ぎたいと思っています」
「解析すべき多くのデータを得ることができたので、これから忙しい週末になるでしょう」
この日が初めてサルト・サーキットを走る機会となった国本雄資、ホセ-マリア・ロペスを擁する9号車トヨタは、ベテランのニコラス・ラピエールとともに106周を走破。マシンセッティングの熟成に加え、国本とロペスはコースの習熟に努めた。
なお、第1戦のクラッシュで負傷していたロペスは、怪我から完全に回復し、ル・マンでは“ルーキー”となる国本とともに、本戦出場に必要な10周以上の走行を行っている。
国本は「今日は本当に楽しめました。周回を重ねるごとに、このコースの素晴らしさがわかり、自信が湧いてきました」とサルト・サーキット初走行を振り返った。
「TS050ハイブリッドへの経験値も上がり、チームメイトやエンジニアに助けられながら、自分自身も車両もいい進歩を遂げることができました」
第2戦スパを欠場したロペスは「スパを欠場した後、無事にレースで復帰できてよかった。まだこれから長い道のりだけど、順調なスタートが切れたと思うよ」とコメントしている。
ル・マン24時間の次回の走行セッションは14日(水)に行われる公式練習だが、11日(日)からル・マン市内で行われる公開車検でル・マンウイークはスタートする。
トヨタは12日(月)の公開車検で、2017年ル・マン仕様のTS050ハイブリッドを披露する予定だ。