2017年06月05日 10:13 弁護士ドットコム
アルバイト中につまみ食いをしたことはありませんか。弁護士ドットコムの法律相談コーナーには、つまみ食いが店長にバレて、お金を請求されたという相談が投稿されていました。
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相談者は、居酒屋でアルバイトをしている学生。バイト先で廃棄になりゴミ箱へ捨てる商品を、約3か月にわたってつまみ食いをしていました。1日の出勤で食べた大体の品数を申し出たところ、食べた分だけ定価での料金を支払うことで話がまとまったといいます。
このように廃棄品をつまみ食いしていた場合でも、飲食店側はアルバイト従業員に対して損害賠償を請求できるのでしょうか。杉山和也弁護士に聞きました。
飲食店の店内には、
(1)料理になる前の素材(肉・魚・野菜など)
(2)完成した料理(商品)
(3)売れ残った廃棄品
がありますが、いずれも、飲食店の所有物であり、アルバイト従業員のものではありません。
また、アルバイト従業員は、一般的に、商品を無断で外へ持ち出すことが許されていませんので、飲食店が商品を支配していると考えられます。このような支配状態を占有と言い、飲食店が占有権を有していることになります。
したがって、店内の商品は、所有権・占有権ともに飲食店が有していることになり、完成した料理はもちろん、廃棄品であっても、これを無断で食べることは、刑事事件では窃盗罪に該当することになりますし、民事事件では損害賠償の対象となります。また、雇用契約上は、懲戒解雇の問題も生じます。
なお、 実際に、廃棄品がゴミ箱へ捨てられ、ポリ袋に集められて、屋外のゴミ収集所へ出されてしまった場合は、飲食店の支配を離れて本当の「ゴミ」になっているため、別途の検討が必要となりますが、飲食店は、雇用契約において、アルバイト従業員が廃棄品を食べることを認めていないことが多く、アルバイト従業員が、いったん、商品を廃棄したかたちをとって、後に屋外で拾うようなケースについては、同様に損害賠償義務が発生する可能性が高いと考えられます。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
杉山 和也(すぎやま・かずや)弁護士
労働事件を中心に、中小企業の法務、相続、離婚に注力。特に、解雇・パワハラ・セクハラ問題について取扱多数。「オーダーメイドの法律事務所」として、1人1人の依頼者に寄り添いながら、ぴったりの解決方法を提案することをモットーとしている。
事務所名:鳳和虎ノ門法律事務所
事務所URL:http://www.houwatoranomon.com/