2017年06月05日 09:03 Techable
Q.2 フォルフェウスを開発して世界から得られた反響やそこから得られた気づきについて教えてください。
国内外から、反響をいただき数多くの取材もさせていただきました。特に多かったのは、ボールの認識や軌道を予測する部分の技術で、具体的には認識精度や予測の精度の高さ、ボールを打ち返すためにロボットを高速かつ高精度で制御する点です。
また、フォルフェウスは、すでに工場などでご利用いただいている弊社の機器や市販されているパソコンなど汎用機器で構成されています。こういった技術のすり合わせにより汎用機を専用機に作り上げるといった、作り込みの部分にも弊社の技術が活用されており、この点に驚かれた方も多くいらっしゃいました。
さらに人との関係性を高めるために、3代目フォルフェウスではAIも搭載し、人の能力を判断し、その人のレベルに合った返球をするように進化しました。人との関係性を高めていくことで、実際に体験された方の多くが、機械とではなく人と対戦している感覚に陥る点は大きな気づきでした。
例えば体験者がミスをすると、ロボットに対して謝るなど、人に対して行う振る舞いを機械に対しても行っているということです。こういった点に「人と機械の関係性をさらに進化させるヒントが隠されているのでは?」と考えています。
Q.3 今後私たち一般の人間がこういったロボットへ抵抗なく打ち解けていくためには何が最も必要だと思われますか?
欧米と日本でも機械、特にロボットに対する印象も異なることもあり、すぐに答えがでないと考えています。既に行われているように、機械の見た目を人に近づけることも1つの方法かもしれません。
この点については、社内でも検討を行っており、単なる安全だけでなく安心や親しみ・温かさを与えるものがポイントだと考え、研究として取り組もうとしています。
Q.4 御社の「SINIC理論」によりますと、21世紀前半は機械自身が学び自ら動く「自律社会」とのことですが、その次に来る「自然社会」と、御社オムロンの役割とは何でしょうか?
自然社会とは、生命メカニズムが埋め込まれた持続可能社会と考えています。そこでは人と機械の関係性はより融和した状態になっており、機械が生活の中に入り込み、機械が人の可能性や能力を広げるような社会であると想定しています。
弊社の役割としては、オムロンのコア技術である「センシング&コントロール+Think」を活かし、自然社会の中で起きる社会的課題を解決し続けることで、人と機械の融和した豊かな社会を実現することだと考えております。そのような社会の実現のためには、弊社単独ではなく、様々なパートナーの方と一緒に協力しながら実現をしていくことが重要だと考えています。
Q.5 最後に、フォルフェウスは3代目まで進化を遂げていますが、今後もし4代目があるとしたらどんな機能が搭載されると思われますか?
もともと「人と機械の関係性の進化を分かりやすく紹介できないか」といった議論がきっかけとなり、開発をはじめました。オムロンが考える人と機械の関係性(協働や融和)といった概念を伝えるため、弊社内でも次の進化に向けて議論を進めており、2017年10月に開催されるCEATECでお披露目を目指して開発を進めています。
さらに進化した姿にご期待下さい!
センシング&コントロールに「Think」が追加されたオムロンの描く未来は、人間と機械の新たな関係を定義するような温かく夢に溢れた世界である。そんな世界を紡ぐフォルフェウスの次期モデルの登場をぜひ期待したい。
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