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疲れを感じさせない速さを見せた琢磨。早めのタイヤ交換がレースの歯車を狂わす

2017年06月04日 11:52  AUTOSPORT web

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インディ500勝利で多忙なスケジュールをこなした佐藤琢磨
インディ500の勝利の後、佐藤琢磨(アンドレッティ・オートスポート)を待っていたのは、嵐のような米国内メディアツアーだ。

 レース翌日はインディアナポリス・モータースピードウエイに戻り記念撮影とインタビュー。夜は表彰式でスピーチをし、終了後プライベートジェットに乗りニューヨークへ。火曜日にニューヨークで11時間のメディアツアーとPRを終えると、今度はテキサスに飛んで同じく10時間のメディアツアー。途中にはNFLのダラス・カウボーイズをも訪問している。

 怒涛のツアーを終えて琢磨はそのままデトロイト入りした。デトロイトとは相性の良い琢磨。過去にポールポジションも表彰台も獲得している。

「今までインディ500で勝ったドライバーは、体調を崩してデトロイトのレースがダメなことが多かったから、体調の管理には注意してました」という琢磨。少し疲れたような表情にも見えるが、マシンに乗るといつもの調子に戻った。

 金曜のプラクティスからまずまずのスピードを保ち、金曜日は午前12番手、午後6番手。

 土曜日は午前に予選が行われたが、グループ1で2番手となり、総合では2列目3番手という上々の結果だ。「それでも決勝に少し不安は残っている」という琢磨だった。


 インターバルのオートグラフセッションでは地元の日本人ファンも多く詰め掛け、やはりインディ500ウイナーの効果はすごい。家族連れも多く列に並んで琢磨のサインをもらい、写真を撮っていた。


 レースはまずまずのスタート3番手のポジションをキープしていたが、オープニングラップでジェームズ・ヒンチクリフ(シュミット・ピーターソン)がスピンの後にブラックタイヤでスピードを上げたことから、ピットは琢磨へも早めのピットインを指示してしまう。

 これが今回の敗因のひとつだった。15周目レッドからブラックに変え、ピットアウト後もスピード自体は悪くないのだが、残りの周回数と燃料の兼ね合いから、ピットはペースの上げ下げの判断を迷い、無線指示は二転三転した。

「ここはなかなか抜けない。前のクルマに付くと、ダウンフォースが抜けてしまう」という状況で、もっとプッシュすべきだったのか、それでもフューエルセーブするべきだったのか、イエローコーションも少なく琢磨にとっては厳しいレースとなった。

 レース終盤、目前のアレシンを捉えようとしても、なかなか抜けず、残り5周のところで燃料が足りなくなり、スプラッシュ&ゴーの最後のピットイン。順位を8位まで落とした。


「(ミカエル)アレシンにくっ付いてもなかなか抜けなかった。ピットからもプッシュとセーブの指示が交互にきて、なかなか順位を上げられなかったです。序盤は3番手を走っていたんだし、後ろのロッシとも離れたので、トップの(グラハム)レイホールの出方を見ても良かった。ちょっと焦りすぎたかもしれないですね。それにしても今日のグラハムは速かった」と言う。

 翌日曜日にはデトロイトの2戦目のレースが待っているが、明日は雨の予報も出ている。「う~ん。どうしましょうね(笑)。晴れでも雨でもいいですけど。まずは今日のチームのデータをいろいろ見たいですね。まずは予選でフロントローに付けて、そこから考えたいです」