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ETRC:第2戦ミサノはボンネット型の雄、フレートライナーが3勝の大暴れ

2017年06月02日 17:22  AUTOSPORT web

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昨年に続き、イタリア・ミサノ戦で強さを見せたアダム・ラッコのフレートライナー
FIA格式の欧州選手権として開催されているETRCヨーロピアン・トラック・レーシング・チャンピオンシップ。その第2戦がイタリア・ミサノのワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリを舞台に開催され、アダム・ラッコのドライブする北米のマニュファクチャラー、フレートライナーが4戦3勝の大活躍を見せ、選手権リーダーに躍り出た。

 チェコ出身で母国チーム“バギィラ・インターナショナル・システム”からエントリーするラッコは、予選Q1のスーパーポール・セッションでの名門タンクプール24レーシングのノルベルト・キス(メルセデス・ベンツ・トラックス)を0.001秒の僅差で上回り、今季初ポールポジションを獲得。セカンドロウ3番手には、今季からイベコにスイッチした王者ヨッヘン・ハーンがつけた。

 5月27日の土曜正午に開催されたレース1は、夏の日差しとなる快晴のコンディションでスタートが切られ、フロントロウの2台は12周レースの全域でバトルを展開。

 しかし、ラッコのフレートライナーはハードブレーキングの繰り返しにより、ディスクの熱害による問題が出て、中盤から苦しい展開となるものの、メルセデス・ベンツの猛攻をなんとか封じる走りを見せる。

 その後方では開幕戦で勝利を記録している女性ドライバー、シュティフィ・ハルムのマンが、同じくマンをドライブする4番手のアントニオ・アルバセテにアタック。4周目に見事なオーバーテイクを披露しスペイン人をかわすと、前を行く王者にプレッシャーをかけて行く果敢なドライビングを披露。

 しかし、その3番手を走っていた王者ハーンが9周目に突然のパワーダウンに見舞われ後退。ハルム、アルバセテに相次いで先行され、イタリア製マニュファクチャラーのイベコにとって、なんとも歯がゆい地元オープニングレースとなってしまう。

 表彰台圏内となり、残り周回でハルムからポジション奪還を試みたアルバセテだが、彼女の力強いディフェンスを攻略することはかなわず。レースはラッコのフレートライナーがブレーキをかばいながらのトップチェッカーで今季初勝利。2位にメルセデスのキス、最後の表彰台となる3位にハルムが入った。

 続く土曜の17時30分にスタートが切られたレース2は、4番グリッドからスタートした“4タイムス・チャンピオン”のハーンが、オープニングの雪辱を晴らす走りを見せる。

 レース開始2周目には、同じイベコに乗るゲルド・コーバーをオーバーテイクし、3周目には首位に浮上。そのままの勢いで勝利を挙げ、イベコにうれしい地元勝利を献上。

 2位には4番グリッドからまたも華麗なオーバーテイクを披露したハルムが入り、彼女自身も開幕戦からの表彰台記録を更新し選手権2位に浮上。3位にはキスのメルセデスが入ったかと思われたが、レース中のサッシャ・レンツ(マン)との接触で30秒ペナルティが加算され9位に転落。リザルト上ではラッコのフレートライナーが繰り上がりとなった。

 翌28日の日曜も午前からレース3に向けたQ2が行われ、ここでもラッコがポールを奪取。フロントロウにハーンのイベコ、セカンドロウにキス、アルバセテと、前日表彰台争いに絡んだ好調なドライバーの顔ぶれが並んだ。

 正午スタートのレース3は、オープニングラップのターン3でハーンのイベコがフレートライナーに並びかける動きを見せたものの、ここはラッコが防戦。実質、チャンスらしいチャンスはこの1度きりとなり、そのままラッコが12周のレースを制圧し週末2勝目。

 さらに4周目にはそのハーンのイベコにまたもテクニカルな問題が発生し、チェックのため早期ピットインを強いられ、2番手にはキスのメルセデスが浮上。

 遅れてレース復帰となったハーンは、レース4のリバースグリッドによるポール狙いで8位フィニッシュ。3位にはレース1同様にハルムとのバトルを満喫したアルバセテのMANが入った。

 そして迎えた最終レース4。そのリバースポールについた王者ハーンのイベコにまさかの事態。彼のイベコは技術的トラブルが解消できておらず、スタートまでに問題が解決せずまさかのリタイア。ポールポジションの位置は空白のまま、スタートが切られることに。

 そしてこのレースでも最速のトラックであることを見せつけたのが、8番グリッドから驚異の追い上げを見せたフレートライナーのラッコ。レース中盤までに全車をオーバーテイクすると、最終的に6.7秒のギャップを築く速さで週末のハットトリックを達成。

 その後方では、コーバーのイベコ、キスのメルセデス、ハルムのマンが三つ巴のバトルを繰り広げ、3台は1.1秒差でフィニッシュラインを通過。この激闘を制したのはハルムのマンとなり、彼女も週末3度目の表彰台を獲得。3位にキス、4位にコーバーが続いた。

 2017年のFIAヨーロッパ・トラックレーシング選手権の次戦は、7月2日の週末にドイツ・ニュルブルクリンクで開催される『ADACトラック・グランプリ』となり、例年10万人規模の大観衆を集めるシリーズでも屈指の人気イベントとなる。