2017年06月02日 17:04 弁護士ドットコム
ヘイトスピーチ解消法の施行から1年になることを受け、制定にかかわった超党派の議員らが6月2日、参議院議員会館で記者会見を開いた。自民党の西田昌司参議院議員は、現在もヘイトスピーチを続ける人たちに対し「情けない。頭が痛いし、胸が痛い思いだ」と苦言を呈した。
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昨年6月3日に施行された同法は、国や自治体にヘイトスピーチ対策を求めるとともに、国民にも「不当な差別的言動のない社会」の実現に向け、努力することを求めた理念法だ。罰則規定がないため、実効性を疑問視する声もある。
西田議員は、法律でヘイトスピーチがなくなったわけではないが、「国会の意思として、ヘイトスピーチはダメなんだということを示せたことは大きかった」と意義を強調。実効性の点については、禁止規定をつけると、表現の自由や内心の自由に影響を与える可能性があるとして、「(本来的には)法律でやるべきものではなくて、モラルの問題」「ヘイトスピーチに限らず、人を傷つけることは恥ずかしい行為だという共通認識を持つことが大事だ」と語った。
西田議員はまた、誤ったヘイトスピーチ認定による「言葉狩りのようなこと」が起きているともして、「言論の自由、表現の自由に制限をかけるような誤った運用をしている人がいるのは残念だ」とも話していた。
共産党の仁比聡平参議院議員は、同法によって「差別的言動は許されない」ということをはっきりさせたことに意義があると評価。公明党の佐々木さやか参議院議員は、川崎市がヘイトデモに許可を与えなかったことを例に、「理念法だが、成立したことでヘイトスピーチに対する対策が進んできているのではないか」と振り返った。
民進党の有田芳生参議院議員は、「この1年でヘイトデモの数や参加人数は減っている。一方で、ネットのヘイトはさらに拡大している。選挙のときのヘイトスピーチも続いているので、検討が必要だ」と話していた。
(弁護士ドットコムニュース)