2017年シーズンにおけるメルセデスF1チームのタイトル獲得という望みは、フェラーリのセバスチャン・ベッテルが今季の残り14戦中、最低でも1戦でリタイアしないかぎりは叶わないだろうと、ニキ・ラウダが語っている。
モナコGPで優勝したベッテルは、ドライバーズ選手権でメルセデスのルイス・ハミルトンとの差を25ポイントに広げた。そのメルセデスは、相変わらずウルトラソフトタイヤの性能を引き出すことに悩まされている。
今シーズンはこれまでメルセデスとフェラーリがそれぞれ3勝ずつあげており、フェラーリの3勝はすべてベッテルが、またメルセデスは2勝をハミルトン、1勝をバルテリ・ボッタスが獲得した。
だが、ベッテルがこれまでの全6戦で2位以上に入っているのに対し、ハミルトンは表彰台を二度も逃している。また現在ベッテルから54ポイント差でドライバーズ選手権3位のボッタスは、レースでは6位とリタイアを1度ずつ経験している。
メルセデスのノンエグゼクティブチェアマンであるニキ・ラウダは、オーストリアのクローネン・ツァイトゥング紙の取材に対して「我々はタイヤの作動温度領域に関して、解決策を探り出す必要がある」と答え、さらに次のように語った。
「はっきりしていることは、ベッテルが少なくとも一度リタイアしないかぎり、我々のタイトル獲得はないということだ。フェラーリには勢いがある。このままでは差は開くばかりだ。まずいことになる」
ハミルトンはモナコGPの決勝を後方13番手からスタートし、7位でフィニッシュした。ポイントは獲得したものの、ハミルトンとメルセデスがウルトラソフトタイヤにひどく苦戦したのは、この3戦で2度目となる。
メルセデスはこれを解決すべき重大な弱点だと認識している。次戦カナダGPとアゼルバイジャンGPは、ボッタスが優勝したもののハミルトンがペース不足で4位に終わったロシアGPや、前戦モナコGPと同様の結果に終わる可能性があるからだ。
モナコGPのような苦戦が今後も続いた場合、ハミルトンにチャンピオン獲得の見込みはあるだろうか。この質問にハミルトンは「当然だけど、あんな週末は二度とごめんだ」と答え、さらにこう続けた。
「もちろんフェラーリが速い現状で、このままでいるわけにはいかない。それに受け入れられないと悩むことには意味がない。とにかく見つかった問題は何であれ修正し、同じことが繰り返されないことを願うだけだ」
「僕たちはモナコに準備不足のまま臨んだわけではない。ただ物事がうまく運んでいなかった。そしてマシンはこれまでにないほどに、まったく違う状態になっていたんだ」
ハミルトンは、残る14戦は厳しい戦いになると考えているが、ベッテルとキミ・ライコネンがパワーユニットの基数制限を超え、グリッド降格のペナルティを受ける可能性があることも強調した。
ベッテルは現在、ターボチャージャーの割り当て数をすでに使い切り、MGU-Hは4基のうち3基目を使用している。今後、規定数を超えれば少なくとも10グリッド降格のペナルティを科されることになる。またライコネンは現在3基目のターボチャージャーを使用しており、グリッド降格ペナルティまでは、まだ2基を残している。
対照的にハミルトンとボッタスは、いずれも6レースを終えた現段階でそれぞれのコンポーネントは2基目であり、余裕のある状態となっている。
「フェラーリはすべてのコースでうまくいっているようだ。今後の14戦は、とても難しい戦いになる。今シーズンの彼らは、ずっと最強のマシンで戦っていくことになるだろう。昨シーズン、僕たちのマシンがあらゆるレースで強かったようにね」
「僕のマシンはいまのところ、すべてのレースでうまく機能しているとは言えないが、今後レースを重ねるにつれてもっと多くを学び、強くなっていくだろう」
「フェラーリが完全無欠だとは思っていない。これまでに彼らが使用したであろうエンジンコンポーネントの総数を考えると、(グリッド降格ペナルティを受ける)可能性もある。様子を見ていくしかないね」