元フォルクスワーゲン・モータースポーツ代表のヨースト・カピートと、元ワークスドライバーのアンドレアス・ミケルセンは、WRC世界ラリー選手権撤退以降もフォルクスワーゲンによる“独走状態”が続いていると語った。
フォルクスワーゲンは2013年にWRCへ参戦を開始し、2016年に撤退するまで52戦中43勝を達成。セバスチャン・オジエとともに4年連続でダブルタイトルを手にするなど、圧倒的な強さを誇った。
2016年9月にフォルクスワーゲン・モータースポーツを離れたカピートは、最終的にはお蔵入りとなった2017年型フォルクスワーゲン・ポロWRCの開発を主導。開発に全リソースを投じるべく、2016年シーズンは事前テストを含めて一切のテストを行わないという英断も下していた。
カピートは仮にフォルクスワーゲンが2017年もWRCに継続参戦していれば、この作戦が功を奏していたと発言。「フォルクスワーゲンはシーズン序盤に大きなアドバンテージを得ていたはずだ」と述べた。
「フォルクスワーゲンは、誰よりも早く2017年型マシンの開発に着手していた。加えて、我々は2016年シーズン中、(2016年型マシンの)フォルクスワーゲン・ポロR WRCでほとんどテストを行わなかったんだ」
「当時、フォルクスワーゲンにいたドライバーは一切の事前走行なしにラリーに臨んでいた。2016年型マシンの開発も2015年末で打ち切っていたよ。とにかく2017年シーズンへ向けて全力を投じていたんだ」
「今、フォルクスワーゲンを離れたドライバーたちは別のチームのマシンで戦い、それぞれがマシンに不満を述べている。2017年型ポロWRCはそんな彼らによって作り上げられたんだ。ライバルより優れたパッケージだったことは明白だよ」
「我々は新型マシンの開発に多くの時間を割き、マニュファクチャラーとしてできることはすべてやっていた」
「レギュレーション変更で、2017年の争いはこれまで以上に僅差になっているが、我々は勝つことができたと思う。いずれにせよ、我々が魂を込めて取り組んでいたプロジェクトが芽吹く姿を目にできないことには本当に苛立ちを覚える。だれもが2017年型ポロWRCの走る姿を見たかったはずだ」
また、6月8日開幕のWRC第6戦イタリアにシトロエンから参戦するミケルセンも、カピートの意見に賛同している。
「2017年型ポロWRCは本当に素晴らしいクルマだった」とミケルセン。
「そして、今のドライバーズランキングを見れば、彼の言いたいことは明白だ。オジエがランキングトップで(ヤリ-マティ・)ラトバラが3番手にいる。僕も同じようなポジションにいただろうね」
「だから、ヨースト(・カピート)が言いたいことはよく分かる。願いが実現しなくて本当に残念だよ」