2015年の発足以降、瞬く間に“ワールド・スタンダード”としてツーリングカーの一大勢力へと成長したTCRシリーズが、ついに北米に進出。アメリカを代表する耐久シリーズ『IMSAコンチネンタルタイヤ・チャレンジ』の新クラスとして採用され、世界的な人気カテゴリーに合流することが決まった。
TCRの権利保有者であるWSC LtdとIMSA国際モータースポーツ協会は、6月1日に共同で声明を発表。北米最大の耐久シリーズであるIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権と同時開催されている『IMSAコンチネンタルタイヤ・チャレンジ』に、2018年からTCRクラスを創設する。
また、同年1月のデイトナ・インターナショナル・スピードウェイの24時間レースから、グランスポーツ(GS)とストリートチューナー(ST)のふたつのコンチネンタルタイヤ・チャレンジ・クラスに加えて、正式にカテゴリーを発足させる計画を明かした。
この発表に際し、IMSAのCEOであるエド・ベネットは「TCRプラットフォーム導入の可能性について1年以上前から真剣に検討を開始し、公式にこのコンセプトを調査してきた」とコメント。IMSAの魅力アップにつながる決断であると自信を見せた。
「この導入プロセスの段階から、我々はチームとマニュファクチャラーの間で緊密な連携を図り、協力体制を構築してきた。その過程で、TCRカテゴリーがコンチネンタルタイヤ・チャレンジを、より魅力的なシリーズにしてくれると判断した」
「TCRのCEOであるマルチェロ・ロッティを始め、スポーティング&シリーズ・ディレクターのナンツィア・コルビノらとともに、IMSAのファンや参加者に人気のあるクラスに育てていくのを楽しみにしている」
この新たなTCR規定クラスは、その他のリージョナル選手権でも採用されているシリーズ独自のBoP(バランス・オブ・パフォーマンス)を用いたホモロゲーション規約を導入。現在のマシン・パフォーマンスに基づいて、IMSAのGSクラスとSTクラスの中間に位置するカテゴリーとしてスタートする予定となる。
さらにIMSAは、TCRカテゴリーの北米マーケットが拡大する流れをにらみ、将来的に“TCR USA”と“TCRカナダ”をスタンド・アローンのシリーズとして独占的に開催するオプション契約も締結。
同時に、北米域内のその他のカテゴリーに対しても、TCR規約の導入サプライヤーとなる権利を保有することとなった。
「発足以降、我々のTCRはすぐに標準的なグローバル・ツーリングカー・プラットフォームになった」と、TCRを統括するWSC代表のロッティ。
「私たちの目標は、ツーリングカーレースのベースをふたたび作り上げることだった。そのために重要なポイントは、機会の平等性を確保するためにマシンコストを低く保つことだ」
「北米では、IMSAがこのマーケットを牽引するもっともプロフェッショナルなパートナーであると信じており、この協業を確立することができて光栄だ」
現在、北米マーケットで自動車販売を展開しているマニュファクチャラーのなかで、TCRマシンを製造しているメーカーは、フォルクスワーゲン、アウディ、フォード、ホンダ、アルファロメオ、キア、スバルなどがあり、来季1月に開催される伝統のデイトナ24時間耐久レースに向けて、プライベーターにも参戦の門戸が大きく開かれたことになる。