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三戸なつめ、マルチな活動で手にした“パフォーマンス力” ツアー初日から見せたデビュー以降の集大成

2017年06月01日 17:03  リアルサウンド

リアルサウンド

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 5月21日、三戸なつめが東京・TSUTAYA O-EASTにてツアー『なつめろ LIVE TOUR ~三戸なつめは超オメデタイ~』を開催した。


 このツアーは4月に発売した『なつめろ』を記念し、全国9カ所にて行われる。同作は三戸にとってのファーストアルバムであり、デビューから今に至るまでのおよそ2年間の活動をひとつにパッケージした、集大成とも言える作品だ。そして、今回の東京公演はツアー初日。フロアには、同世代のファンを中心としながらも、通常のエリアに加えてキッズエリアも設置され、曲の合間にも、「三戸ちゃ~ん!」「こっち向いて~!」と呼びかける子供たちの声も。歌手活動以外にも、その前から続けていたモデルとして、そして今ではテレビやCMに引っ張りだこな三戸なつめ。そのマルチな活動において培ってきたタレント性、そして歌うことや表現することに真正面から向き合うアーティストとしての魅力が存分に発揮されていた。


 自身の楽曲をミックスしたSEが流れるなか、鮮やかなピンクのトップスとオリエンタルな花柄模様のパンツ姿に身を包んだ三戸なつめがステージに現れた。序盤では、四つ打ちのリズムにあわせオーディエンスを阿波踊りに誘う「わたしをフェスに連れてって」も披露。グッズである「前神扇子」を持って踊るなど、曲ごとに様々な演出が飛び出した。続くパートでは、アコースティックギターを持った三戸。ステージには、サポートメンバーであるキーボード担当の“あいちゃん”の姿もあり、二人で音を重ねるなど、ミュージシャンとしての姿も印象付けた。


 またライブ半ばにはトークコーナーも用意されていた。『三戸なつめは超オメデタイ』というツアーのサブタイトルに基づき、占い師・ゲッターズ飯田の一番弟子であるというぷりあでぃす玲奈監修により、ライブ当日に一番幸運な人を決めるというコーナー「今日の福男・福女」。様々な条件のもと、福男に選ばれた男性をステージにあげ、願いを聞く。三戸はステージの上で絵馬で直筆でその願いを書き入れた「超おめでたい絵馬」をプレゼントした。


 その後、ライブが中盤に差し掛かると、「ねむねむGO」や「風船と針」といった、ミドルテンポでセンチメンタルな楽曲も歌われた。特に『なつめろ』のラストナンバーである「風船と針」の、<ずっといい子でい過ぎたの 風船を突っつく針がほしい>というワードにはドキリとさせられた。あたたかみのある三戸の本来の声質を活かしたミニマムなサウンドからは、明るくコミカルなだけではない、等身大の彼女の思いを感じるとることができた。


  また、そこから後半にかけては再びアップテンポなナンバーを立て続けに歌唱。二人のダンサーも登場し、曲の世界が視覚でも楽しめるよう工夫されていた。「もしもクッキング」では、三戸はタンバリンを叩き、二人のダンサーはステージの上でケーキ作りに挑戦。アートワークやMV、衣装、そしてライブにおいても、どう楽しませるか、といった視点から、妥協なく突き詰めていく三戸なつめ。ダンス、トークコーナー、占い、手品、ケーキ作り……と様々な演出を取り入れても、違和感なく成り立たせ、オーディエンスも一緒に楽しむことができるのは、三戸なつめの愛らしいキャラクターがゆえだろう。


 アンコール1曲目では、「私の持ち曲全部やったんで、アンコールで聴きたい曲をみんな教えてください!」と、お客さんからリクエストを募って決定。多数決の結果、「わたしをフェスに連れてって」が選ばれた。さらにアルバムの中からもう1曲披露し、この日のステージは終了した。


 今回のライブで印象的だったのは、三戸なつめのパフォーマンス力だ。2015年に中田ヤスタカのプロデュースでデビューしてからおよそ2年、フェスやイベントのステージに立つ機会も徐々に増えている。ワンマンライブにおいても、数々の経験によって磨かれた堂々としたパフォーマンスを見せていた。また、「前髪切りすぎた」「わたしをフェスに連れてって」「8ビットボーイ」などではコミカルでシュールな世界観を作りながらも、最新シングル曲「ハナビラ」や「パズル」では、アコースティックサウンドを取り入れながら、各曲が持つ季節感や情緒を豊かに表現しており、アーティスト像にも広がりがもたされたように思う。このツアーで全国を巡ることで、さらに”アーティスト・三戸なつめ”としてパワーアップした彼女を見られることを期待して待ちたい。(取材・文=若田悠希)