WTCC世界ツーリングカー選手権の第4戦ドイツでパンクが多発したためレース後に激しい批判を受けているヨコハマタイヤは、今回のパンクはニュルブルクリンク特有の条件が引き起こしたとコメント。供給しているタイヤに問題はないと語った。
5月18~20日にドイツ・ニュルブルクリンクで行われた第4戦では、決勝レース中にティアゴ・モンテイロ(ホンダ・シビックWTCC)、ネストール・ジロラミ(ボルボS60ポールスターWTCC)のタイヤがパンク。また18日の練習走行でも、ノルベルト・ミケリス(ホンダ・シビックWTCC)らがパンクに見舞われている。
この週末ノーポイントに終わり、ドライバーズランキング首位の座を失ったモンテイロは、パンクのせいでポイントを獲得できなかったとコメント。タイヤトラブルが頻発した状況を「危険」と表現した。
また、木曜日のフリー走行終了後には、ロブ・ハフ(シトロエンCエリーゼWTCC)が、世界選手権でこのような状況は「受け入れられない」とも語っている。
こういったドライバーからの批判に対し、ヨコハマタイヤでテクニカルコンサルタントを務めるイアン・ビバリッジは、ニュルブルクリンク、特に北コースのノルドシュライフェ特有の状況が、レースタイヤのリスクを高めたと応じた。
ビバリッジ「フリー走行1回目ではいくつか問題が見受けられた」と語る。
「そのあとチームと協議して、いくつか調整を施した。その結果、2回目のフリー走行では問題はなかったんだ。おそらく、どのチームも完全なレースシミュレーションを行わなかったのだろう」
「そして決勝日は状況が変わった。気温が上昇してコンディションが変わり、ターゲットにするべき数値にも変化が起きた」
「我々がここ(ニュルブルクリンク)に来るのは年に1度だけで、各チームとともに調整を行う特殊な状況になった」
「各チームと同様、我々も学びの段階なんだ。ここではマシンやタイヤにさまざまなものが襲いかかる。縁石や荒れた路面、空気圧、長い高速ストレート……。こういったものの組み合わせが特殊な状況を生み出している」
「今は、どう対処するべきか理解を深めていると思う。我々は裏側でこうしたトラブルをなくすべく懸命に取り組んでいるが、つねにうまくいくわけではない」
ヨコハマタイヤは、タイヤの内圧に関するガイドラインを設定するべく、各チームと連携しており、チーム側もガイドラインに従っているとみられている。
しかし、モンテイロによれば、木曜日にミケリスがパンクに見舞われてから、内圧に関してチームは一層の注意を払っているという。
■ニュル専用タイヤを求める声にヨコハマが反論。「理由はふたつ」
第4戦期間中にパンクがあったハフは、ヨコハマに対してノルドシュライフェ専用のタイヤを作るよう呼びかけているが、ビバリッジはふたつの理由から消極的であると語った。
「理由はふたつある」とビバリッジ。
「まずレギュレーション上、許可されていない。選手権との契約では(供給できるのは)1種類のタイヤのみと定められており、この条件を変更するのは難しい」
「そして、我々がよりハード寄りのタイヤを作れば、パフォーマンスが低下する。また、安全な内圧で走れるタイヤを作ってもパフォーマンスは落ちてしまう」
「仮に我々がこういった壊れにくいタイヤを作れば、チームは内圧を下げて失われたパフォーマンスを取り戻そうとするだろう」
「こうなれば我々の推奨するセッティングには誰も従わない」
「FIAだけが最終判断を下すことができる。我々としては、選手権のスポーツとしての側面は各チームに委ねたいと考えているから、実行には消極的だがね」