主婦向け人材サービス「しゅふJOB」は5月30日、「オヤカク(親確)」についてのアンケート結果を発表した。調査は5月18日~25日、「しゅふJOBパート」登録者709人を対象にインターネットで行った。
オヤカクは「病院で手術を受けるときの同意書と同じ」
「オヤカク」とは企業が内定者だけでなく、その親にも入社承諾の確認を取ること。調査では、「オヤカク」という言葉について聞くと「言葉も意味も知っていた」と答えた人は15%に留まった。「知らなかった」人は79.8%と認知度は非常に低い。
また「もし自分が就職活動中の学生の親だった場合、オヤカクする採用企業に対してどんな印象を持つか」と聞くと「良い」が21.4%、「悪い」が39.1%、最も多かったのが「良い悪いどちらとも言えない」で39.5%だった。
「良い」と答えた人は「安心してお子さんの事を任せて下さいみたいな感じで責任感を感じる」と好評価だ。他にも、
「新卒は働くのが初めてなので社会人としては未成年です」(40代・子ども有)
「内定を気軽に辞退したり、正式な辞退もせず連絡が取れなくなるような学生が多いので、企業が親確を取るのも致し方ないと思う」(50代・子ども無)
などと社会人の先輩として「新卒はまだまだ子ども」と思い、必要性を感じている人も。
一方「悪い」と答えた人からは、オヤカクする企業に不信感を抱く、という声が出ていた。
「本人を信用していない気がするから」(40代・子ども無)
「親にも責任を負って貰おうとする感じを受けてしまう。親としては逆に子供の就職先として不安に思う」(50代・子ども有)
他にも「ブラック会社の場合辞めづらい」「病院で手術を受けるときの同意書と同じで、後で何か合っても盾に使われる感じがする」と今後の関係性に悪影響を及ぼすのではという懸念も見られる。
「どちらとも言えない」が多いのは親の複雑な心情の表れ
また「どちらとも言えない」と選んだ人は大きく2つに分けられる。ひとつは「良い点も悪い点もある」という声。
「子ども本人の希望で就職するのに、社会人になってまで親の同意が必要なのか疑問に思うから。ただし、現在はいろいろな企業があるため、少し安心はするかもしれません」(40代・子ども有)
片や「どちらでもよい」「必要性が分からない」という冷めた声もあがっていた。
これについてしゅふJOB総研の川上敬太郎所長は「親としての複雑な心情が表れているように感じます」と話す。大手企業でも倒産し価値観が多様化している時代背景が、就活生や親に不安感を生じさせているのかもしれないという。その一方で企業側の気持ちについて、
「採用難の時代に人員確保が最重要課題の一つとなっています。そこに現代の親子関係の在り方なども相まって複雑なジレンマが生じる中で、オヤカクは苦肉の策として生み出されたのではないかと考えます」
とコメントしている。