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ニュル24時間:出火リタイアのスバル、原因は「車両が日本に戻り次第究明」

2017年05月30日 14:12  AUTOSPORT web

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90号車スバルWRX STI
5月27~28日にドイツ・ニュルブルクリンクで行われた『第45回ADACチューリッヒ・24時間レース(ニュルブルクリンク24時間レース)』。SP3Tクラス3連覇を目指したスバル/STIの90号車スバルWRX STIは、チェッカーまで3時間というタイミングでマシンが炎上。リタイアとなった。

 2リッターターボエンジン搭載車で争われるSP3Tクラスを2015~16年と2連覇しているスバル/STIは、ダウンフォースの向上やシャシー・ジオメトリーの最適化、剛性バランスの強化などを施した2017年仕様のWRX STIを投入。

 ドライバー布陣もクラス2連覇中のカルロ・バン・ダム/マルセル・ラッセー/ティム・シュリック/山内英輝を継続起用して2017年大会に臨んだ。

 決勝前に行われた2回の公式予選セッションでクラス3番手グリッドを獲得した90号車スバルは、レース序盤は27度と例年より高い気温から、燃料が気化するパーコレーションなど、高温のトラブルに悩まされる。

 しかし、日が傾き気温が下がるにつれて症状は改善。クラス2番手の170号車レクサスRCがピットイン時に他車に接触されたこともあり、レーススタートから6時間が経過したころには、クラス2番手に浮上した。

 日が落ちたナイトセッション中は、大きなトラブルもなく順調に周回。クラス首位の89号車アウディTT RS2とは一進一退の攻防を繰り広げる。しかし、スタートから15時間が経過した頃、ラッセーのスティント中に他車がマシン左側に追突。ボディ周りにダメージを負ってしまう。

 駆動系などに影響はなかったものの、ボディ修復を行っている間に170号車レクサスに交わされ、クラス3番手に後退する。

 その後はルーティンのピットインごとにマシンのドア周りを応急処置しながら順調に走行。しかし、レース開始から21時間後、現地28日(日)の12時30を過ぎた頃に三度不運が襲いかかった。

 チームはルーティンのピット作業を行い、ドライバーをシュリックからバン・ダムに交代してマシンを送り出す。しかし、ピットアウトしたバン・ダムのマシンはグランプリコース走行中に突如エンジンルーム内から出火。バン・ダムは冷静に消化器があるマーシャルポスト付近までマシンを進めて脱出し、怪我はなかった。

 オフィシャルもただちに消火作業にあたり、マシンは全焼する前に消火されたものの、マシンのフロント周りが燃えてしまい、リタイア。チェッカーを受けることは叶わなかった。

 バン・ダムは「第1コーナーを回り、2速から3速へシフトアップしたところで突然出火した。兆候はなかったよ」とコメントしている。

「左側のドアがダメージを受けていて開けづらかったため、僕は右側から脱出した。心配させてしまったけど、怪我はしていない」

 また、STIの菅谷重雄チーム監督は「昨年我々自身が立てた目標がクリアできなかったので、それにあうクルマ、ディーラーメカニックも含め新しいプロジェクトメンバーで今年のニュルブルクリンクに挑みました」と語った。

「なんとかクルマを間に合わせ、新たなチャレンジについてはある程度の手応えをもって今週のレースに臨むことができました。結果は、あってはならない火災で終了ということになってしまいました」

「クルマのパフォーマンスはある程度検証できたし、進化は確認できました。しかし、この結果を招いたのは、どこかに見落としや思い込みがあったからかもしれません。今後またチャレンジできるなら、未達成の目標をクリアできるよう組み立てて、この地に立ちたいと思います」

 なお、チームによれば出火の原因は「車両が日本に戻ってから究明」するという。