2017年NASCAR第12戦シャーロット レースレポート モンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズ第12戦シャーロット
“トヨタ・カムリ”惜しくも2-3-4-5フィニッシュ
“聖地”シャーロットでシリーズ最長600マイルレースが行われ、“トヨタ・カムリ”勢は4ステージ中3ステージを制するなど、レースの大半で首位を争い支配したが、最後は給油ピットインをせずに燃費作戦に出た車両に逃げ切られ、惜しくも2-3-4-5位フィニッシュ。3位でフィニッシュしたマーティン・トゥルーエクス・Jr.はランキング首位に浮上した。
エクスフィニティ・シリーズでは、トラック・シリーズのレギュラーで、今大会シリーズ初参戦となった22歳のクリストファー・ベルが健闘しトヨタ勢最上位の4位。シリーズデビュー戦でトップ5フィニッシュを果たした。
Monster Energy NASCAR CUP SERIES
第12戦 Coca-Cola 600
開催日:5月28日
“トヨタ・カムリ”惜しくも2-3-4-5フィニッシュ
マーティン・トゥルーエクス・Jr.がランキング首位浮上
5月28日(日)、アメリカ東南部ノースカロライナ州コンコードのシャーロット・モーター・スピードウェイでモンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズ第12戦「Coca-Cola 600」が開催された。
NASCARのチームや関係企業の多くが本拠地を置き、前週にはオールスター戦も行われるなど、デイトナと並んでNASCARの“聖地”とも言われるシャーロット。
オールスター戦の翌週に行われるこの1戦は、メモリアルデー(戦没将兵追悼記念日)となる祝日の前日、日曜夜に600マイル(約960km)とシリーズ最長のレースとして行われる。
50年以上の歴史を持つNASCAR最長レースでは、昨年マーティン・トゥルーエクス・Jr.が勝利を挙げている。
28日(日)まだ明るさの残る午後6時24分に1.5マイルオーバルを通常の3ステージではなく、100周ずつの4ステージ合計400周(600マイル)で競われる決勝レースのスタートが切られた。
最前列2番手スタートのカイル・ブッシュが序盤から首位を争い、5番手スタートの21歳ルーキー、エリック・ジョーンズがこれに続く2位に浮上したが、エリック・ジョーンズはコース上の異物が車両前部に当たって破損し、修復のために後退。
また、ステージ中盤にグリーンフラッグ下でのピット作業が行われた際、6番手スタートのデニー・ハムリンがピットロードのスピード違反を取られ、こちらも大きく順位を落として締まった。
ディフェンディングウイナーであり、今季既に2勝と好調なトゥルーエクス・Jr.は、8番手スタートから順位を上げ、一度はカイル・ブッシュをかわして首位に立ったが、残り10周で抜き返したカイル・ブッシュがステージ1を制覇。トゥルーエクス・Jr.が2位、マット・ケンゼスが5位でステージ1を終えた。
ステージ2では、スタート前のピットで、タイヤ交換で若干タイムをロスしたカイル・ブッシュに代わってトゥルーエクス・Jr.が首位へ。
ステージ2の途中、コースは突然の雷雨に見舞われ、レースは1時間40分ほどの赤旗中断となった。“トヨタ・タンドラ”に搭載されたコース乾燥システム“エア・タイタン”でコースを乾かし、レースは再開。
再スタート後はトゥルーエクス・Jr.が首位を快走。ケンゼスとカイル・ブッシュが3位を争い、ハムリンとエリック・ジョーンズもトップ10圏内へと復帰した。
ステージ2はトゥルーエクス・Jr.が今季6度目のステージウィン。ケンゼスが3位、カイル・ブッシュが4位、エリック・ジョーンズが8位、ハムリンが10位でポイントを獲得した。
レースが折り返したステージ3ではトヨタ勢が更に躍進。ピットスピードペナルティで一時は周回遅れ目前になりながらも順位を取り戻したハムリンがステージ3を制覇。
カイル・ブッシュ、ケンゼス、トゥルーエクス・Jr.、エリック・ジョーンズと続いて“トヨタ・カムリ”がトップ5独占。スアレツも8位に入った。
ステージ4もトヨタ勢が上位を争った。カイル・ブッシュが序盤首位をキープ。328周目にイエローコーションが出され、各車ピットへ向かったが、残りは70周あまりと、無給油で走り切るのは難しい周回数。
上位を争っていたトヨタ勢は、367周目あたりからグリーンフラッグ下で最後の給油、タイヤ交換のためにピットへ。ここで、8台ほどの車両がピットへ入らず最後まで燃費を伸ばして走り切る作戦に出た。
グリーンフラッグ下でのピットにより、未ピット組首位との差はほぼ1周、約30秒。しかし、燃費セーブのためにペースの落ちた未ピット組をトゥルーエクス・Jrとカイル・ブッシュがハイペースで追い上げ、388周目には残り2台、その差は約8秒に。
残り2周となった398周目、首位を走行していたジミー・ジョンソン(シボレー)がガス欠。これで2位、3位となったカイル・ブッシュとトゥルーエクス・Jr.は首位の車両を追い詰めたが、惜しくも0.8秒及ばず。
カイル・ブッシュが2位、トゥルーエクス・Jr.が3位、ケンゼスが4位、ハムリンが5位と、“トヨタ・カムリ”は勝利こそ叶わなかったものの2-3-4-5フィニッシュと速さを見せた。
ルーキーのエリック・ジョーンズが7位で、デビューイヤーながら2度目のトップ10フィニッシュ。スアレツも11位でチェッカーを受けた。
今大会最多の233周で首位を走行したトゥルーエクス・Jr.は、3年連続でシャーロットの600マイルレースでの最多リードラップ獲得。
赤旗中断の影響もあり、レースが終了したのは午前0時20分過ぎ。日をまたいでの長いレースとなったが、終盤首位を追い詰めたカイル・ブッシュはあと数周あれば勝てたと残念がった。
次戦第13戦は6月4日(日)、米国東部デラウェア州ドーバーのドーバー・インターナショナル・スピードウェイで行われる。
ドライバー カイル・ブッシュ
「今夜の我々の“トヨタ・カムリ”は最高だった。本当に速かった。レースを通して、我々と78号車(マーティン・トゥルーエクス・Jr.は最速の車両だった。彼は本当に今夜速かったが、終盤、彼に追いつき、パスすることが出来た」
「2位という結果は本意では無いが、我々は自分たちの出来るレースを戦った。あと数周足りなかった。“トヨタ・カムリ”が2位、3位、4位、5位、7位、11位でフィニッシュ出来たというのは良い兆候だ」
NASCAR XFINITY SERIES
第10戦 Hisense 4K TV 300
開催日:5月27日
シリーズ初挑戦のクリストファー・ベルが4位
5月27日(土)にNASCARエクスフィニティ・シリーズの第10戦「Hisense 4K TV 300」がシャーロット・モーター・スピードウェイで開催された。
エクスフィニティ・シリーズは前戦から2週間のインターバルを経ての開催。今季キャンピング・ワールド・トラック・シリーズにシリーズ参戦し、既に1勝を挙げて目下ランキング2位につける22歳のクリストファー・ベルが、今大会エクスフィニティ・シリーズにデビューすることとなった。
27日(土)午後1時16分に1.5マイルオーバルを45周、45周、110周の3ステージ合計200周(300マイル:約320km)して競われる決勝レースがスタート。
予選で7番手につけたデビュー戦のベルは、2周目に後続から接触されてスピン。グラスエリアに突っ込み、イエローコーション。23位へと後退してしまった。
シャーロットの同シリーズ戦では、昨年春に勝利を挙げているデニー・ハムリンが今大会スポット参戦。8番手グリッドからスタートを切ったハムリンはすぐに首位争いに加わり、ステージ1,ステージ2ともに2位でフィニッシュ。
徐々に追い上げを図っていたベルはステージ3再スタート直後にホイール系のトラブルに見舞われピットイン。首位と同一周回最後尾の28位へふたたび落ちてしまった。
ハムリンも125周目のイエローコーション時ピットでホイールナットトラブルに見舞われ20位に後退。その後、ハムリンとベルは猛烈な追い上げを開始した。
残り50周を切る頃にはハムリンはトップ10圏内へ復帰。その後は数周毎にイエローコーションが多発する荒れた展開となり、再スタート毎にポジションを上げていったベルも165周目にトップ10入り。
荒れた終盤戦は、最後の3周でのスプリントで決されることとなり、ハムリン5位、ベル6位での再スタート後、ともにポジションを上げ、ベルが4位、ハムリンが5位でフィニッシュ。ベルはエクスフィニティ・シリーズでのデビュー戦で見事トップ5フィニッシュを果たした。
次戦第11戦は6月3日(土)、ドーバー・インターナショナル・スピードウェイで行われる。
ドライバー クリストファー・ベル
「2度にわたるアクシデントで後方に下がることになり、上位復帰は容易ではないと思っていた」
「クルーの素晴らしい仕事でピットのたびに順位を上げられたし、“トヨタ・カムリ”も最高の仕上がりで、おかげでトップ4フィニッシュが出来た。ポジションを落としてから追い上げての上位フィニッシュだけに喜びもひとしおだ」
「序盤のスピンの後、集団の中で初めて走ったが、トラック・シリーズよりも乱気流の影響が小さいということを学べたという意味でも貴重な経験だった。このトップチームでシリーズにデビューし、好結果で初戦を終えられて本当に嬉しい」