ザウバーのパスカル・ウェーレインは、モナコGP決勝での大クラッシュについて、ジェンソン・バトンが「愚かな動き」をしたことが原因であるとして、バトンを非難した。
フェルナンド・アロンソの代役としてF1に復帰したバトンは、パワーユニットのエレメント交換により最後尾まで降格され、その後、セットアップ変更を行ったことに伴いピットスタートで決勝に臨んだ。
チームはバトンがプッシュできるように1周目でタイヤ交換を行うという戦略を採ったが、同様の動きをしたウェーレインに常に抑えられることになった。レース後半、バトンは、ポルティエで前を走るウェーレインのインに入りこみ、両者は接触。ザウバーのマシンは横転してバリアに沿って止まった。バトンもマシンにダメージを負い、その周の途中でストップ。幸いにもドライバーふたりに大きなけがはなかった。
この事故を受け、スチュワードは接触の責任は主にバトンにあるという決定を下し、バトンに対して「今シーズン中の彼の次のレースで3グリッド降格のペナルティを適用し、ペナルティポイント2を科す」ことを決めた。
しかしバトンは今回が自分にとってF1最後のレースであると繰り返し述べており、このペナルティを行使する機会はなさそうだ。
ウェーレインは事故の後でメディカルチェックを受けたが、ヘルメットがバリアに当たったため、来週、改めて検査を行う予定であるということだ。ウェーレインは今年レース・オブ・チャンピオンズでケガをして2戦欠場しているため、慎重な対応が行われる。
ウェーレインは、バトンのアクションについて批判的な発言をしている。
「あのコーナーはオーバーテイクする場所じゃない。愚かな動きだった」とウェーレイン。
「バリアにまた頭を打ったから、来週、改めて背中の検査をしなければならない」
「クルマから自力で降りられたので、問題はなさそうだ。ただ、前にけがをした箇所があるから、確信は持てない」
「あの(クラッシュの)ことはすべて覚えている。ぞっとするような事故だった」
「ブレーキから煙が上がり始めたから、とにかくマシンから出たかったのに、出られなかった」
バトンは、ウェーレインが自分を見ていないことに気付いたのが遅すぎたと述べている。
「もちろん、行けると思った。そうでなければアクションは起こさない」とバトン。
「1周目にピットインしていたから、彼のタイヤは完全に終わっていた。僕はしっかりインに入っていたと思う」
「レーシングドライバーなんだから、ただぐるぐるコースを走っているだけで、何もアクションを起こさないのは辛い。だからトライした」
「彼に並びかけて、横を見て初めて思った。『僕のことを全然見てないじゃないか』とね」
「今のマシンは視界が悪い。そのことは今週末、チームにもFIAにも伝えた」
「引こうとしたが、遅すぎて、接触してしまった」
「あんな風にマシンが横向きに引っくり返っているのを見たのは初めてだ。タイヤの影響なのか、単に不運だったのか、分からないけれど」
「自分がマシンを止めてからすぐに様子を聞いたら、自力でマシンから降りたと言われた。本当によかった」
「彼と会って話したけど、明らかに腹を立てていた。それでも無事でよかったよ」