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「定時退社協会」って一体なんなの? ビールメーカーが企画、「プレミアムフライデーへのアンチテーゼ」も意図

2017年05月29日 18:42  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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よなよなエールなどのクラフトビールを製造販売するヤッホーブルーイングは、5月26日、定時退社協会の設立を発表した。協会ホームページには

「当協会は、突発的な仕事、職場の雰囲気、上司の『5分良い?』など、健全で文化的な定時退社を阻むあらゆる困難に立ち向かい、すべての働く人々の充実した終業後時間の創出と、労働・私生活の均衡維持に資して参ります」

とあり、今月14日には定時退社訓練も実施された。

しかしこの協会、昨年に設立準備委員会が結成されてからこれまで、具体的な動きが見えない。怪しい。委員会の資料も「(理事長)候補者の経歴は事実です」とあり、裏を返せば経歴以外はネタの可能性がある。ますます怪しい。

キャリコネニュースが同社の広報担当者に取材したところ、返ってきたのは「販売促進の一環です」という苦笑混じりの答えだった。

「理念はいたって真面目」だが、主目的は販売促進と認知度向上

「準備委員会の資料は後から作成しました。販売促進と認知度の向上が主目的の企画です」

ホームページに「当協会は定時退社訓練および関連するSNSキャンペーン以外の活動実態を伴わない協会ですが、その理念は株式会社ヤッホーブルーイングの真摯な思いと願いを反映しています」とあるように、やはりこの協会、同社プロモーション企画のひとつだった。

ただ担当者は「理念そのものはいたって真面目」と強調する。同社では従来から、家庭の事情等で早く帰りたい人は帰れる仕組みを採用するなど、「個人の裁量で仕事もビールも楽しめる働き方」の実現に本気だという。

「働き方改革としてプレミアムフライデーが始まりましたが、実際に取り組んでいる企業は4分の1以下とも聞きます。政府の取り組みやノー残業デーで強要されるのではなく、個人の裁量に基づいて早く帰れる日は帰り、残業したい時には働き、ビールも楽しめるようになってほしいんです。そういう思いは本気です」

発表日を先週金曜日にしたのは「話題作りとプレミアムフライデーへのアンチテーゼのため」だそうだ。

今後の活動は「反響次第」 熱い思いを綴ったハガキにはお礼も検討中

協会では、オリジナルグッズの投票も行っている。「今日は絶対定時退社します」と書かれたTシャツや「定時大社」と書かれたお守りなど計10種類が候補で、ハガキに必要事項とグッズへの熱い思いを記入して送ると、同社がその思いに感銘を受けた場合に限り、なんらかのプレゼントを予定しているとのことだ。

「もし本当にハガキをお送りくださる方がいれば、グッズ、もしくはビールでのお礼を検討しています」

また、協会理事長の挨拶文には、協会の活動として「若者への正しい定時退社知識の啓蒙、理不尽な仕事からの護身術セミナーの開催」とある。今のところ、これらの実施予定はないそうだが、「反響次第では何らかの企画をすることもやぶさかではない」と含みを持たせた。