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日本人初のインディ500勝者に輝いた琢磨「ターン1でのイメージはできていた」

2017年05月29日 13:52  AUTOSPORT web

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インディ500恒例の勝利のミルクを味わう佐藤琢磨
佐藤琢磨がインディ500予選初日に2番手タイム、翌日ポールデーのファスト9で総合4番手のグリッドを獲得し、過去日本人最高のグリッドについた。

 予選を終了した段階で、琢磨とアンドレッティ・オートスポートの好調は十分にうかがい知れたし、フェルナンド・アロンソ出場のニュースも合間って、今年のインディ500決勝はスタート前から期待するに十分だった。

■序盤のペースダウンは想定通り
 雨予報もありながら、レースは定刻通りにスタートすると、琢磨はやや順位を落として序盤のレースを展開していく。

「チームメイトのダウンフォースレベルを知っていたので、序盤のペースはわかっていましたし、想定通りでした。カナーンが急にきたのはびっくりしましたけどね(笑)」

 途中、ジェイ・ハワード(シュミット・ピーターソン)とスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)の大クラッシュがあり、赤旗で一時中断となる波乱の序盤。


 レース再開後は、ピットインで手間取り一時16~17番手まで琢磨は落ちることになる。

 琢磨は、諦める事なくポジションを少しづつ上げていき、レース半ば100周あたりまでにトップ10内に戻ってきた。冷静沈着なレース運びだった。そして琢磨はもちろん、アロンソ、ロッシ、ハンター-レイと誰もが安定している速さを見せていたアンドレッティのマシン。

 しかし、今日のレースはアクシデントも多く波乱含み。例え速いマシンを手に入れても、運が悪く接触に巻き込まれてしまえば、すべてを失う。事実ディクソンがそうだった。

■虎視眈々と上位へ
 レースが終盤になる程、接触が増えるのもインディ500の常。各ドライバーがひとつでもポジションを上げようと、先を急ぐようになるからだ。一列縦隊の列がターン4を立ち上がる時、右へ左へくねりだし後続のスリップを嫌う様子が正面から見ていると良くわかった。

 琢磨はチームメイトらと抜きつ抜かれつしながら、虎視眈々と上位への狙いを定めていた。

 レース残り周回20周で、チームメイトのアロンソが無念のリタイアを喫する。そして、その後184周目には5台の多重クラッシュがあり、残り188周でレースが再開となった。

 前を行くのは、マックス・チルトン(チップ・ガナッシ)。これを執拗に追うが、後続のカストロネベスにかわされて3番手に落ちる。ジリジリとした攻防戦になった。194周目にはスリーワイドからカストロネベスまでかわしてトップに立った。

 残りは5周。

「エリオが来てるぞ、来てるぞ!ってスポッターから言われて、来るのはわかっていました。ターン1でのイメージはできていましたし、きっちり走ることができました」

 残りをトップを維持したまま逃げ切った琢磨。

■歴史的快挙に満面の笑み
 右拳を高々と上げながら、チェッカーを受ける。コクピットの中から喜びを表現しながら、ビクトリーレーンに戻ってきた。ブリックヤードまで来るとイエローシャツの係員にマシンを押されながら、栄光の場所にマシンを止める。

 コクピットを出ると体いっぱいに喜びを表現した。満面の弾けるような笑顔だった。そして恒例のミルクをゴクゴクと飲み干し始め、最後には頭からそれを被った。


 日本人ドライバーがインディ500で初めて勝った証である。

「本当にファンの皆さんに感謝してもしきれないですね。僕がレースを始めたときからずっと応援していただいて。ファンだけでなく、スポンサーもそうですし、ホンダのスカラシップのプログラムを取ってここまで来ましたらから。長い道のりでしたけど、本当に、こういう形でインディ500を勝ったことはうれしかったです」

 国際レースの大舞台で、次々と日本人ドライバーの記録を更新して来た琢磨。彼にまた「日本人初インディ500ウイナー」という称号が授けられた。