モナコGP決勝で、フェラーリがポイントリーダーのセバスチャン・ベッテルを優先してキミ・ライコネンの前に出すためのレース戦略を採ったのではないかという説を、ベッテルが否定した。
ポールシッターのライコネンがレース前半をリードし、ベッテルは2番手でそれを追う展開になった。フェラーリは34周目にライコネンをピットに呼び、ベッテルのピットストップは39周目に行った。その間にプッシュしたことでベッテルは、ピットアウトした際にライコネンのすぐ前に出ることができ、そのまま優勝を飾った。タイトル争いのライバル、ルイス・ハミルトンは7位に終わったため、第6戦終了時点でベッテルは129点、ハミルトンは104点となり、ベッテルは大量のリードを築くことができた。
フェラーリの戦略は、ベッテルをライコネンの前に出して、より多くのポイントを稼がせるために用意されていたものなのではないかという見方も出てきているが、ベッテルは、チームオーダーの意味合いを持った戦略だったのかとの問いに対し、「そんなことはない。チームオーダーを行使するプランはなかった」と答えた。
「決勝前に話をした。はっきりしていたのは、通常、前を走っている方に優先権があるということだ。もし僕に先にピットに入る権利があったなら、普通はそうしたいと思う」
「今回は“オーバーカット”(ライバルより後にピットインをして、順位を上げる)の方が有利な、まれなケースだった」
「普通は、予選で前のポジションを取った方が、最初のピットストップで優先権を得る。今日はそれが僕に有利に働いた」
レース後、明らかに失望した表情だったライコネンは、ピットストップのタイミングを選んだのはチームであり、どうしてそういう判断をしたのかは自分には分からないと述べていた。
「うそをついても仕方ない。僕はすごくハッピーだ」とベッテルは言う。
「ただ、彼が少し腹を立てているのは理解できる」
「僕としては、バルテリ(・ボッタス)の前の位置を維持し、キミに接近することを考えていた。だから僕の方が前の位置でコースに復帰した時には驚いた」
「今日はピットストップを遅らせるという戦略はうまく機能した。でもレース前にはそんなことは予測できない」
「キミが今日、完全に満足していないのは理解できる。彼はファーストスティントはいい走りをしていた」
「僕は、ボッタスのラップタイムを聞いて、プッシュしなければならないと思った。マシンからあれほどのペースが引き出せたことにびっくりした」