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F1モナコGP決勝:ピット戦略で明暗、ベッテルが逆転し今季3勝目。マクラーレンは全滅

2017年05月28日 23:22  AUTOSPORT web

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F1モナコGP決勝 セバスチャン・ベッテルが逆転勝利
5月28日現地時間14時、F1モナコGP決勝のスタートを迎えた。この日も朝から快晴のモンテカルロは暑く、気温は25度、路面温度は49度まで上昇しているが、タイヤのデグラデーションや摩耗には影響はないものと見られている。 

 15グリッド降格を科されていたジェンソン・バトンは予選後のパルクフェルメでフロアを交換したためピットスタートを義務づけられることに。

 マーカス・エリクソンもギヤボックス交換をして5グリッド降格を科され19番グリッドからのスタートとなった。予選で大きなクラッシュを喫したストフェル・バンドーンは、モノコック交換を免れ前戦の3グリッド降格を消化して12番グリッドからレースに臨む。


 スタートは各車とも無難に決めて上位勢の順位は変わらないままレース序盤に突入するが、首位キミ・ライコネンはファステスト連発の走りで2位セバスチャン・ベッテルとの間に一気に2秒の差を広げた。

 タイヤには1レースを走り切る寿命があるため、ピットスタートのバトンとパスカル・ウェーレインは1周目にピットインしてそれぞれスーパーソフトとウルトラソフトに交換しクリーンエアでの走行を選んだ。

 スタート時のピットアウトがアンセーフリリースと判断されウェーレインには5秒加算ペナルティが科されたが、ピットストップ後もウェーレインの後ろになってしまったバトンは本来のペースで走ることができない。

 13番グリッドスタートのルイス・ハミルトンは早くもターン1までの間にバンドーンを抜いて12位に上がった。


 首位ライコネンと2位ベッテルは2秒、3位バルテリ・ボッタスはフェラーリ勢についていけず首位から5秒差、4位・5位のレッドブル勢はさらにそこから2秒ずつ離れての走行で、6位カルロス・サインツJr.以下はじわじわと離されていく。

 ハミルトンは集団の中で身動きができず12位のままで「我々のレースは終盤が勝負だ」とエンジニアから念を押される。

 2位ベッテルはタイヤを痛めないよう前走車の影響が最小限に抑えられる2秒差の間隔をライコネンとの間にあけて走り続け、14周目からプッシュを開始してじわじわとギャップを縮めていく。

 いっぽう、10位を走っていたニコ・ヒュルケンベルグが16周目にギヤボックストラブルで白煙を上げストップ。7位セルジオ・ペレスはスタート直後にダメージを負っていたフロントウイングの左側が落ち路面に擦る状態となってしまい、ピットストップを強いられてノーズ交換とスーパーソフトへの交換を済ませて16位まで後退する。

 26周目、フェラーリ勢が最後尾のウェーレインとバトンに追い付き周回遅れが出始める。これによってフェラーリ勢とボッタスの差は一時的に縮まるものの、周回遅れがいなくなると再び広がっていく。

 32周目にフェルスタッペンが先陣を切ってピットに飛び込み、スーパーソフトに交換。これを見て3位のボッタスも翌周に動き、フェルスタッペンのアンダーカットを防いでポジションを守った。

 しかし、ロマン・グロージャンなど中団勢に引っかかってしまい1分18秒台での走行。その間にステイアウトして1分16秒代前半でプッシュしたリカルドが38周目にピットインして2台同時ににオーバーカットを成功させた。

 首位ライコネンも34周目にピットインするが、再びウェーレインとバトンの背後に戻ってしまいややタイムロス。リカルドと同じようにステイアウトして1分15秒台のファステストラップを連発したベッテルが39周目にピットインし、ライコネンの僅かに前でコースに戻ってこちらもオーバーカットを成功させ首位を奪いとった。

 中団勢も続々とピットストップを済ませていく中で、ステイアウトし続けるハミルトンはフェルスタッペンの後方6位まで浮上してきた。

 ハミルトンは46周目まで引っ張ってピットインし、グロージャンの前7位でコースに戻ってみせた。ウェーレインをコース上で抜けず引っかかっているかたちのバトンはしびれを切らして39周目にピットインしウルトラソフトに換えてクリーンな状態で走行する。

 ピットストップの直後、エステバン・オコンは39周目、ケビン・マグヌッセンは42周目にサンデボーテ出口の路面が剥がれ始めその影響で左リヤタイヤをパンクさせて再度ピットインを強いられてポイント圏外へと後退してしまった。


 50周目を過ぎるとフェラーリ勢のペースが1分16秒台中盤から後半に落ち、3位リカルドが1周1~1.5秒速いペースで2位ライコネンの背後に迫ってくる。

 60周目、ウルトラソフトでウェーレインに追い付いてきたバトンがポルティエでインを突くが接触し、ウェーレインの車が浮き上がって2輪走行のまま横倒し状態でバリアに突っ込んでしまった。

 バトンはヌーベルシケイン先のランオフエリアまで走ったがリタイア。ウェーレインの身体に問題はなかったが、事故処理のためにセーフティカーが導入され、後方のサインツとの間に17秒差があったフェルスタッペンは隊列が整う前にタイムロスなくピットインしてウルトラソフトに履き替えてボッタス攻略を狙う。

 レース中盤から「プッシュしようとするたびにウォールに突っ込みそうになる!」とマシンの違和感を訴えていたマーカス・エリクソンはセーフティカーラン中の64周目にサンデボーテでまっすぐバリアに突っ込んでリタイアとなった。

 67周目にレースが再開となり、直後のターン1出口でバリアをヒットしたリカルドの立ち上がりが遅れ、ボッタス、フェルスタッペンが背後に迫るがなんとか抑え切る。

 後方ではターン1でペレスにインを刺された10位のバンドーンがワイドになってしまいバリアにクラッシュし、今季初入賞目前でまさかのリタイアを喫してしまった。

 首位ベッテルはすぐに2位ライコネンに対し2秒のギャップを築き盤石の態勢。ウルトラソフトのフェルスタッペンはボッタスを追うがオーバーテイクを仕掛けるところまで迫ることはできない。


 71周目にはペレスがラスカスでやや強引にクビアトのインに飛び込み両者は接触、ペレスはハーフスピン状態ながらポジションを失うことなく走行を継続したがピットインを強いられて13位まで後退、クビアトはサイドポッドにダメージを負っており翌周のカジノまで走ってマシンを止めた。

 開幕戦から5戦連続で続いていたフォース・インディアのダブル入賞は途切れ、今季初のノーポイントに終わってしまった。

 首位のベッテルは最後まで後続を引き離し、最終的に4秒の差をつけてトップでチェッカードフラッグを受け、今季3勝目を挙げた。

 フェラーリにとっては2001年以来のモナコでの勝利となった。2位にはライコネン、3位にはボッタスとフェルスタッペンの猛攻を抑え切ったリカルドが入った。

 6位には最後までハミルトンを抑えたサインツ。8位グロージャン、10位マグヌッセンとハースがダブル入賞を果たし、9位には粘りの走りでマッサが入った。