ホンダF1プロジェクト総責任者の長谷川祐介氏は、現在使用しているパワーユニットのMGU-Hは耐久性が低すぎるとして「受け入れられない」状況であると認めた。モナコでジェンソン・バトンはパワーユニットのエレメント交換を行ったことでグリッドペナルティを受け、最後尾からスタートしなければならなくなった。
インディ500にスポット参戦するフェルナンド・アロンソの代役として、モナコで一度限りのF1復帰を果たしたバトンは、半年ぶりにF1マシンに乗ったにもかかわらず、予選Q3に進出、9位を獲得した。しかし木曜プラクティスの後、ホンダはバトンのMGU-Hとターボチャージャーを交換するという決断を下しており、これによりバトンは15グリッドダウンのペナルティを受け、最後尾20番グリッドに降格された。
長谷川氏は、今回の問題についてMGU-Hの「ベアリングの回転」に関連するものであると述べているが、土曜時点では問題の詳細な原因は分かっていないという。
4月の第3戦バーレーンで何度かトラブルが発生した後、ホンダは信頼性を高めるためMGU-Hのデザインを修正した。それが新たな問題に関連しているのかどうかは不明だということだが、長谷川氏は、今のバージョンにも十分な耐久性がないと認めた。
「2レースごとに交換が必要です。この状況は受け入れることができません」と長谷川氏が語ったと英AUTOSPORTが報じている。
「強度を高めるため、回転にかかわる部品を中心に、さらにモディファイを行う必要があると思います」
モナコはマクラーレンにとって今季初入賞の最大のチャンスとなるグランプリであると考えられていたが、オーバーテイクが極めて難しいこのコースでグリッドペナルティを受けることになり、そのチャンスは大きく損なわれた。それを承知していたホンダとしては、エレメント交換に最初はちゅうちょしたと、長谷川氏は語っている。
しかしマクラーレンとも慎重に協議した結果、交換せずにそのコンポーネントでレース距離を走ることを目指すのは「リスクが高すぎる」との判断に至ったということだ。
「FP2で走った後、通常、エンジン、MGU-Hなどのすべての回転部品のチェックを行います。その点検のなかで、MGU-Hの回転が通常の状況としては少しおかしいと思いました」と長谷川氏。
「完全におかしかったわけではありませんが、メカニックたちはわずかなフリクションを感じ取ったのです」
「MGU-Hに完全な問題が起きるときには、MGU-Hのタービンが完全にスタックします」
「今回はそういう問題が起きていたわけではありません。ただ、メカニックたちは多少の抵抗を感じ取りました」
「日本サイドと協議し、金曜朝、交換することを決めました」
「100,000rpmで回転するパーツですから、何か異常を感じるようなときには、持ちこたえることはできません。(最後まで持つ)可能性もありましたが、(リスクを冒す)価値はありませんでした」