スーパーフォーミュラ第2戦岡山、注目新人ピエール・ガスリー(TEAM MUGEN)のレース1は予選が13位、決勝は序盤緊急ピットインがあり1周遅れの最下位19位という厳しい結果に終始した。開幕前のテストでの好調から、開幕後は一転して苦戦モードにあるが、レース1はどんな戦い模様だったのか、そしてレース2に向けて浮上の手応えはあるのだろうか。
レース1当日の土曜日、まず午前に行なわれた20分間の計時予選でガスリーは13位にとどまった。「マシンのポテンシャルをフルに発揮できたとは言い難い」という理由はタイヤのウォームアップが満足にできなかったことにあるのだが、これには無線のトラブルが影響を及ぼしていたようだ。
「最初のランからピットに戻ってきてマシン(セット)を変えたんだけど、戻ってくるタイミングが(無線不調により)遅れた。作業を終えて2回目のランに入った時には時間が足りない状態で、タイヤの温めが難しかったね。ベストタイムを出したラストラップも、コース前半ではまだグリップが充分ではなかった。コース後半は良かったんだけど。あとコンマ2秒縮められていれば、5~7位あたりには入れたはずだ」
前日の金曜フリー走行、クラッシュがあったガスリーは他の選手が30周、40周と走り込むなか、初の岡山を12周しか走行できずに実戦初日の土曜、レース1当日を迎えていた。ただ、初岡山ということについては「スーパーフォーミュラの戦いは常に難しいものなのだから、それが特に大きい問題とは思わない」と語る。
しかし負の連鎖は続き、決勝では中団グリッド発進の混戦リスクがもろに具現化してしまう。ガスリーは1周目に2回のアクシデントに遭遇。2周目を終えたところで緊急ピットイン、傷めたフロントノーズとタイヤを交換して戦列復帰することになり、序盤早々にこのレースの勝負権を失った。
「最初にターン1で他のマシンと当たってしまってグラベルに入り、そこで3~4ポジション落とした。その後、ターン11かな? 小暮(卓史)選手とのコンタクトがあって、自分のマシンはフロントウイングが左前輪に干渉する状態になり、タイヤからスモークが上がってしまった。それでピットイン、今日は難しいレースになった」
ポイント獲得が実質不可能になったなか、その後はクリアな空間を選んで再度レーシングスピードにのせて走るなど、翌日のレース2の予選・決勝を睨んだテスト的な走りをする姿もガスリーには見られている。
「カーバランスの確認をしておきたかった。ラップタイムをレースリーダーたちと比べても、そんなに遜色はなかったし、フィーリングも良かった。ピットでノーズを換えた時に前輪も交換しているんだけど、20周くらい走り込んだものだった。それを考えても、良いペースだったと思う」
「経験豊富で速い」チームメイト、山本尚貴(レース1は予選9位、決勝5位)とのラップタイム比較からもガスリーは一定の手応えを得ている。その上で、もちろんマシン面の課題も理解している。
「ナオキともそんなに変わらないペースで走れている。予選はコンマ1秒(0.131秒)遅かっただけだし、決勝ペースに関しては(置かれた状況の違いはあるが)僕の方がコンマ3秒(0.315秒)速かった。ただ、もちろんまだインプルーブが必要だ。アンダーステアを感じるコーナーもあるし、スローコーナーでのトラクションも改善したい。そうすれば、明日(レース2)はいけると思う。今夜、データをしっかり見て、チームとともに作業を進めたい」
はたして挽回なるだろうか。「ここはオーバーテイクが難しい。スタートは当然重要だし、予選ペースに注力して仕事をしていく必要も感じている」という印象の岡山だけに、予選から仕切り直せる土日個別式の2レース制というのは救いである。あとは「今夜の仕事」の成果次第だ(レース2当日の日曜は予選前のフリー走行がないため、充分な確認ができずに実戦突入となる)。
最後に「このコースの全カテゴリーを通じたコースレコードホルダーが誰か知っている?」と訊くと、「知っている、アイルトン・セナだ。ここでF1を開催していた歴史があるのには驚いたよ」。インターネットで知ったというが、セナはガスリー最大のアイドル。
23年前の4月、結果的には亡くなる2週前にセナが1度だけ戦った地で、ガスリーは日曜のレース2、V字回復を果たし開幕前の好調・好結果を取り戻せるだろうか。そのカギは予選。2段階ノックアウト予選にまずは注目したい。