5月27日現地時間14時、F1モナコGPの予選が行なわれた。土曜日のモンテカルロは朝から快晴で気温は25度、路面温度は53度にまで上昇している。
クリアラップを取ることが最大の課題であり、ウルトラソフトタイヤでもデグラデーションが皆無であることからも、予選はERSの充電を兼ねたクールダウンラップを挟みながらの連続アタックを行なうのが主流になる。
ほぼ全車がウルトラソフト中心のタイヤアロケーションとしており、スーパーソフトとのタイム差が0.7秒ほどあるだけに、当初から予選ではほぼ全てのアタックがウルトラソフトで行なわれるものとみられている。
トラフィックの処理が重要になるモナコの予選だけに、フェラーリ勢はQ1の開始1分以上前にピット出口に並び、セッション開始を待つ。
14時を迎える頃にはピット出口には長い隊列ができてしまった。逆にレッドブル勢とトロロッソ勢はすぐにコースインせずに待機し、3分が過ぎたところでコースイン。FP3でクラッシュを喫したエステバン・オコンのマシンはまだピットで修復作業が続けられている。
オコンを除く全車がやはりウルトラソフトの新品でアタックを開始し、連続周回で何度もアタックを続けていく。8分を過ぎたところでオコン車はようやく準備が整いコースへと向かった。
上位はレッドブル勢、フェラーリ勢が刻々と入れ替わるが、タイヤの扱いに苦労しているメルセデスAMGのルイス・ハミルトンは早くも「リヤがオーバーヒートしている」と訴え、タイムも9位前後に留まっている。
残り5分の段階でロマン・グロージャンがミラボーでスピンを喫し、ややコースを逆走するようなかたちでランオフエリアへ戻ってスピンターンでコースに復帰する場面も。
Q1通過が確実なタイムシート上位勢はこれでアタックを終了しピットへ。7位ケビン・マグヌッセン以下のアタック走行を続けるが、8位のハミルトンはピットに戻る。
この2回目のランでストフェル・バンドーンは6位、ジェンソン・バトンは11位の好タイムを記録。ヌーベルシケインでコースオフしたパスカル・ウェーレインと左リヤがパンクしたマーカス・エリクソン、ランス・ストロール、ジョリオン・パーマー、そしてオコンがQ1敗退となった。
Q2では依然としてタイヤに苦しむハミルトンがマスネで挙動を乱してあわやクラッシュという場面もあったが、なんとか立て直してガードレールへの接触は避けた。グロージャンはターン1でもまっすぐ行ってしまいスピンターンで復帰。その一方でフェラーリ勢は1-2タイムを記録して早々にQ2通過を確信しピットに戻る。
マシンに違和感を感じるメルセデスAMG勢もピットに戻ってタイヤを交換し2度目のランに出る。ボッタスは4番手タイムを記録したが、ハミルトンはカジノ出口でリヤが流れてカウンターを当てるなどなかなかアタックが決められず、残り2分で最後のアタックラップに入るが、その前でバンドーンがターン15イン側のガードレールにヒットし右フロントサスペンションを壊し、そのまま為す術なくターン16出口のガードレールにクラッシュ。
これでハミルトンもアタックラップが完了できず、なんと14位でQ2敗退となってしまった。その他はクビアト、ヒュルケンベルグ、マグヌッセン、マッサがQ2敗退。グロージャンは6番手タイムでQ3進出を果たしている。
バンドーンはクラッシュしたものの7番手タイム、ジェンソン・バトンも10番手タイムでQ3進出を果たした。
Q3の1回目のアタックでトップに立ったのはライコネンで1分12秒296、これにリカルド、ベッテル、ボッタスが約0.7秒遅れで続き、0.840秒差のフェルスタッペンが5位。
周りよりも4分ほど遅めにコースインしたバトンはコース上がクリアなところでアタックを行なうが9番手タイムに留まる。残り4分で上位勢が2回目のアタックに向かい、予選はいよいよ最後の局面を迎える。
最後のアタックでさらに自己ベストを縮め首位に立ったのはライコネンで、ベッテルはトラフィックに引っかかりアタックの仕切り直しとなり、僅かに0.043秒届かず2位。
ライコネンが2008年フランスGP以来、実に9年ぶりのポールポジション獲得となった。実にボッタスも0.045秒という超僅差のトップ3となり、レッドブル勢はフェルスタッペンが0.318秒差の4位、リカルドは2回目のアタックでタイムを更新できず0.820秒差の5位に留まった。
6位以下はサインツ、ペレス、グロージャン、そしてバトンとバンドーンのマクラーレン勢となった。ただしバトンはFP3前に今季5基目となるTCとMGU-Hを投入したため15グリッド降格ペナルティが科されている。
バンドーンも予選を10位で終えたものの、前戦の接触のため3グリッド降格が科されているうえにモノコック交換となればピットスタートを義務づけられる。