2017年シーズン初優勝を挙げたアンドレ・ロッテラー(VANTELIN TEAM TOM’S) 気温23度、路面温度31度と午前に行われた予選と天候はほぼ同条件の下、全日本スーパーフォーミュラ選手権第2戦レース1の決勝が行われ、アンドレ・ロッテラー(VANTELIN TEAM TOM’S)が今季初優勝を飾った。
周回数30周と前戦鈴鹿と同様のスプリントレースながら、今回はタイヤの交換義務付けはなし。ノーピットで走り切れる距離のためピット戦略よる順位変動も不可能ということもあり、スタートが今レースでの最重要ポイントとなる。
レース前に行われる8分間のウォームアップ走行では石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)がマシントラブルにより走行直前にクルマをピットに戻し走行を見送るハプニングもあったが、スターティンググリッドには無事に戻ることができた。
5分前、3分前、1分前とボードが掲示される中、徐々に緊張感も高まっていく。気温はほぼ変わらずも、午前中よりもやや雲が厚みを増し、青より白いコントラストが強くなった空模様のもと、各車フォーメーションラップへと走り出していった。
各車それぞれマシンを左右へと振りながらタイヤを温め自身のグリッドへと向かう。全車グリッドに着いたのちレッドシグナルが点灯し、ブラックアウト。今レースの最大注目ポイント、スタートの瞬間を迎えた。
エンジンが低く響きわたる音以外は聞こえず会場中の視線がグリッド上に集まる中、ホールショットを奪ったのは2番手スタートのロッテラーだった。
ポールシッターの関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)は動き出しは良かったがその後の加速で出遅れしまい2番手へ。3番手には同位置スタートのニック・キャシディ(KONDO RACING)が続き、7番手スタートの小林可夢偉が大外から4番手へとポジションを上げた。
レース直前のトラブルの影響があったのか石浦は大きくポジションを落とし8番手へ。中団から後方争いの集団では他車との接触があったようでピエール・ガスリー(TEAM MUGEN)の左フロントノーズが破損し、タイヤに接して白煙を上げながら走行。ガスリーは修復のためピットイン、フロントノーズとタイヤを交換した。
ガスリーと接触したか、小暮卓史(B-Max Racing team)も直後にピットイン。ガスリー同様すぐにコースに戻り、ガスリー、小暮卓史の順に2台は最後尾争いの位置での復帰となってしまう。この2台がピットインを終え、3周が終了した時点でコース上の隊列が整い、残りは着実にゴールへと周回を重ねていく展開へ。
トップのロッテラーと2番手の関口のタイム差は一旦はコンマ8秒差まで縮まり、関口が追い上げる展開になるのかと思わせたものの、その後は徐々にロッテラーが引き離していく展開となった。
10周が経過した時点でレース順位に変動はなく、先頭からロッテラー、関口、キャシディの順。ロッテラーと関口の間隔も1.5秒と広がっていく。その後、15周を経過したあたりでは2.5秒以上の差が開いていた。
30周のスプリントレース、抜きどころの少ないサーキットということでトラブルが起きない限りコース上での順位変動は難しいなか、1周わずか3.703kmのコース上では残り周回数もあっという間に減っていく。
レース終盤、ロッテラーはややペースをセーブしての走行をし、最終的には関口とのタイム差は1.9秒まで縮まったものの余裕のチェッカーフラッグを受け今季初優勝。「ヒサシブリ」と日本語で話すように、2015年の最終戦鈴鹿のレース1以来となる優勝を飾った。
3位にはキャシディが入り、スーパーフォーミュラ初表彰台を獲得。チームメイトの山下健太(KONDO RACING)も7位に入り、初入賞を飾った。
また、今大会の決勝レースにおいて、もうひとつの注目ポイントとなるのが、オーバーテイクシステムの使いどころ。通常は決勝レース中、最大5回の使用が可能なのだが、今大会ではレース1、2合わせて5回と制限されている。レース1ではスタートのポジション争いで1回程度使ったドライバーはいるものの、レース中盤で使用したドライバーは見受けられず、優勝のロッテラーを含め、ほとんどのドライバーは0回の温存モードでレース1を終えている。
レース直後のピット取材では多くのドライバーならびにエンジニアからは「スタート以外で使うところがない」「まだ確認していない」などとチーム自体で把握していないところも見受けられるほか、小暮は5回すべて使い切ったとの情報も。2レースで5回というところは注目されるポイントなのだが、実際にはスタート以外で使うチャンスがなく、5回すべて使い切ることもなさげなところが実状のようだ。