VASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカー選手権は、前戦で今季初勝利を含む2連勝をマークしたDJRチーム・ペンスキーのスコット・マクローリンが、第5戦ウィントン・スーパースプリントのオープニングとなるラウンド9でも勝利し3連勝。しかし、続くラウンド10では昨季王者のレッドブル・レーシング・オーストラリア、シェーン-ヴァン・ギズバーゲン(SVG)のホールデン・コモドアVFが久々の勝利を挙げ、フォード・ファルコンFG-X勢に反撃を開始した。
フォード勢の好調さを見せつけるように、この週末もポールポジションを獲得したマクローリンは、40周のレース1ほぼ全周を支配。
序盤ではチャズ・モスタート(スーパーチープ・オートレーシング)からのチャレンジを受けるも、彼のフォード・ファルコンが15周目に駆動系トラブルで止まった後は、レッドブル・レーシング・ホールデンに所属し、ここウィントンが地元でもあるジェイミー・ウィンカップを危なげなく抑えきるドライビングを披露。
2番手ウィンカップは、ピットでの給油後は背後につけたマクローリンのチームメイト、ファビアン・クルサードのチャージに神経を集中する必要があり、先頭のシェルVパワー・レーシングを追走するには至らず。
「こういうレースは好きじゃないね。激しくファイトするためにはクルマをさらに速くするために努力を重ねる必要がある」と、レース後のウィンカップは厳しい表情。
さらに、最終ラップ目前でブラッド・ジョーンズ・レーシングのニック・パーキャットと、モービル1HSVレーシング、ジェームス・コートニーがターン4で激しいクラッシュを演じ、レースはそのまま終了。
マクローリンが今季3勝目を挙げ、2位にウィンカップ、3位にクルサードが続く表彰台となり、4位には14番グリッドからスタートし、ピットストップを引っ張る戦略を採ったエレバス・モータースポーツのデビッド・レイノルズが入った。
続くウィントン・モーターレースウェイのファイナルとなるラウンド10は、ふたたびポールスタートのマクローリンに加え、ウィンカップ、SVG、そしてクルサードの4台が激しいバトルを展開。
DJRチーム・ペンスキーvsトリプルエイト・レースエンジニアリングの直接対決構図となった争いは、フロントロウのウィンカップがアウトからスタートの1コーナーを制すると、マクローリンは2周目にSVGらのパックにもかわされ5番手に後退。
これにすぐさま反応したチームは3周目にマクローリンをピットへ呼び、後方クリーンエアにマシンを送り出す作戦に。
しかし、マクローリンのファルコンはシフトカットの不調を来たしておりペースが上がらない。
そのマクローリンに反応してピット作業を済ませていたウィンカップがふたたび先行。それに対し、ファーストスティントを長く取ったSVG、クルサードの2台は、最初のピットストップで3番手、4番手に下がるも、すぐさまコース上で先行する2台を仕留めて逆転。
2度目のピット作業を含めて、めまぐるしくポジションが入れ替わる中、レース終盤に、マイケル・カルーソのニッサン・アルティマとシェア・デイビス(ワイルドカード/ニッサン・アルティマ)がクラッシュし、セーフティカーが導入される。
ウィンカップ、SVG、クルサードのオーダーで残り13周となった時点でのリスタートで、首位ウィンカップがバックマーカーの処理に手こずりマシンをグラベルに落とすと、その隙を見逃さなかったチームメイトSVGが首位に。
そのままレースはチェッカーを迎え、レッドブル・ホールデンは久しぶりのワン・ツーを達成。「本当にタフなシーズンだけど、ようやくこうして戻ってくることができた。すごくいい気分だよ」と、満足げなSVGが4勝目をマークし、1023ポイントで選手権4位にカムバックした。
3位に入ったDJRペンスキー、クルサードが1060ポイントでスタンディング首位を維持し、1056ポイントでウィンカップ、1032ポイントでマクローリンが続き、2強の対決構図がさらに激しさを増す展開となっている。
次戦VASC第6戦となるスーパスプリント戦、『ダーウィン・トリプル・クラウン』は、6月16~18日の週末にヒドゥン・バレー・レースウェイを舞台に争われる。