2016年限りで現役を退いたマーク・ウエーバーは、WEC世界耐久選手権の未来にとって、LMP1クラスをル・マン24時間耐久レースの主役に据えることは“極めて重要”だと語った。
アウディが活動を終了した影響で、今年LMP1に参戦している車両はプライベーターを含めても、わずか5台。ル・マンではトヨタが3台目を投入するため6台となるが、同クラスの今後についてはさまざまな憶測が飛び交っている。
2014~16年にかけ、ポルシェからWEC/ル・マンに参戦したウエーバーは、エントリー数が少ないにも関わらず、依然としてLMP1のイメージがル・マンの魅力を高める要因であるとコメント。将来的にクラスを拡大させることが重要だと語った。
「ル・マンは、まだまだ魅力的なイベントになる」とウエーバー。
「20台のLMP1マシンが並んだら壮観だと思うが、それは可能だろうか? 答えはノーだ」
「それでも、今年は見た目も素晴らしい(ハイブリッド搭載)マシンが5台も参戦する。ル・マンを走るポルシェ919の姿は話題になるし、いまだに目を見張るものがある」
「こういったタイプのマシンがレースをリードするべきなんだ。パワフルなマシンをシリーズに留めることが、イメージ戦略でも感情的にも重要なんだ」
また、ウエーバーはひとつのチームがレースを支配していた時代よりも、LMP1に参戦するメーカーがわずか2社のみとなっている現在のほうが好ましいとも語った。
「ル・マンでは競争がなく、ただクルマが走り去っていくだけの時代があった。ひとつのマニュファクチャラーが優位に立っていた時のことだ」
「今は、そうなっていないから健全な状況といえる。ル・マンで誰が勝つかは本当に分からない。2社の間で競争があるからね。これはいいことだし、願わくば将来はもっと多くのメーカーが参加してくれるといいんだけど」
■「四輪駆動、1000馬力。このワードに心が動かされないドライバーは存在しない」
現在、LMP1については2020年に導入されるレギュレーションの議論が進められている。ウエーバーはたとえコストがかかっても、ハイブリッドシステムを盛り込むことが、マニュファクチャラーの興味をつなぎ止めることに不可欠だと語っている。
ウエーバーは「エンジニアに刺激を与え続けることは、いつでも重要なことだ」とつけ加えた。
「ハイブリッドシステムを導入するのは大掛かりなことだ。それをどうやって自分たちのレースプログラムに組み込むかが重要になる」
「メーカーとして“物語”を消費者に感じてもらための活動は、つねに予算との戦いにさらされるものだ」
「四輪駆動の(ポルシェ)919、最大出力は1000馬力。このワードに心が動かされないドライバーは存在しない。僕個人としては、技術はこういった方向に進むべきだと思う」
議論が進む新レギュレーション導入まで、LMP1クラスに新規参戦するマニュファクチャラーはいないとみられているが、ハイブリッド非搭載のチームとしてはSMPレーシング/ダラーラや、ジネッタ、ペランなどのエントリーが予想されており、2018年はLMP1クラスの参戦台数が拡大する見込みだ。