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上司からセクハラ受けて休職したら「雇い止め」に…元契約社員の女性が提訴

2017年05月25日 17:03  弁護士ドットコム

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新日鉄住金ソリューションズで契約社員として働いていた30代女性が5月25日、会社からの雇い止めの無効と慰謝料など約1091万円を求めて東京地裁に提訴した。女性は正社員で管理職の男性からセクハラを受けたが、会社が対応してくれず、精神疾患を患って休職状態になったところ、雇い止めを受けたと主張している。


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訴状などによると、女性は2013年3月に派遣社員として、2014年6月に直接雇用の契約社員として同社に勤務。経費精算や物品管理、海外からの来客サポート、営業部などの通訳業務など幅広くアシスタント業務を行っていた。


●「ホテルに行こう」、交際や男女関係を求める執拗な誘い

女性が男性と初めて会話したのは2013年の9月ごろ。社内の納会で「かわいい感じで(仕事を)応援してね」と言われたのが始まりだった。


男性は既婚者だったが、そこから交際や男女関係を求めるセクハラ行為はエスカレート。同年12月末に行われた忘年会の2次会後には、男性から「ホテルに行こう」などと執拗に迫られた。


Facebookでは時に午前3~4時までメッセージが送られ、その中には「金曜日、僕に触られて嫌じゃなかった?って、なんか痴漢みたいな言い方だけど。」「じゃあ、今度エロ勝負しましょう←消化しきった人」といった内容もあったという。


●上司にセクハラ相談も対応なし…事実上の雇い止め

2014年5月に社内のセクハラ窓口に連絡し、女性の所属していたグループの部長にも相談したが、詳細な聞き取りもなく、部長からは「このことは誰にも言うな」と言われたという。


女性は適応障害と診断され、2015年1月から休職を余儀なくされたが、会社からは同年4月23日付で「これまでの勤務状況に鑑み、契約を更新したとしても当該契約に基づく労務の提供を期待することができないと判断せざるを得ない」と事実上の雇い止めを通知された。


女性は2015年9月に「首都圏なかまユニオン」に加入し、会社と交渉を行ってきたが、会社側は、男性が責任を負うことはないと回答。その根拠とした女性と男性のFacebookやメールのやりとりについて、社内調査結果の提出を求めているが出されていないという。


「会社に雇ってもらうことは労働力として仕事をするが、人間の心まで売っているわけじゃない。奴隷ではない。女性も社会の中では労働力として会社にきちんと認めて頂き、日本を代表する企業に改善してほしい」。提訴後、司法記者クラブで記者会見を開いた女性はそう語った。


同社は「ユニオンを通じて女性と話し合いをしてきたのは事実だが、訴状が届いておらず内容が確認できていないので、現時点でコメントはしかねる」としている。


(弁護士ドットコムニュース)