ハースF1チームのチーフエンジニアとして今年で2年目を迎える小松礼雄氏。創設2年目の新興チームであるハースはどのようにF1を戦うのか。現場の現役エンジニアが語る、リアルF1と舞台裏──F1速報サイトでしか読めない、完全オリジナルコラムの第6回目をお届けします。
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大幅アップデート投入も、効果つかめず。
予選のグロージャンの攻めっぷりと弱点
今回はスペインGPの結果を振り返りたいと思います。まず、バルセロナには大幅にアップデートしたマシンを持ち込みました。フロントウイングのエンドプレート、バージボード、フロアなど、マシンの多くの領域を改良していますが、今回の結果だけではどれくらいラップタイムの向上につながっていたのかは、まだつかみきれていない状況です。
金曜日のFP1、FP2では性能比較のため、ケビン(マグヌッセン)がアップデート仕様、ロマン(グロージャン)が開幕4戦までのパッケージで走行したのですが、タイム的にほぼ同じでした。
現状、多くのサーキットにおいてロマンの方がケビンより速いので、その差を埋めるだけのゲインがあるのかなと思いましたが、FP2では風の影響が大きく、ドライバーは少しパニック状態になっていました。
国際映像の無線でフォース・インディアのセルジオ・ペレスが、「マシンが壊れているに違いない」と言っていましたが、毎周同じ方向に風が吹いているわけではなく、コーナーの進入時やブレーキング時に突風がくるわけです。それで急にリヤのダウンフォースが抜けてオーバーステアになってしまう。
ドライバーからすれば、何が起こったのか分からないので、ペレスのような発言になるわけですね。特に風向きが変わるのが、ターン4、5、7、12、13。本当に難しいセッションした。
FP3からはロマンもアップデート仕様で走ったのですが、ケビンとのタイム差はほとんどなかったですね。予選のタイムを見てもはっきり言ってあまり変わらなかったので、アップデートの効果を判断するにはもう少し時間がかかるかもしれないと考えています。アップデートのマシンでのセットアップはまだできていないので、そこはこれから詰めていきたいと思います。
その予選ですが、Q1はロマンが7位、ケビンが10位で通過しました。ただし、ふたりともQ1の1回目のアタックが悪すぎました(ロマンが14番手、ケビンが17番手)。他チームのドライバーはQ1の2回目のアタックで約0.5秒タイムアップしているのですが、ロマンとケビンは約1.1~1.2秒更新しています。
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