第101回インディ500のスターティンググリッドが決まった。
F1チャンピオン、フェルナンド・アロンソは予選5位。インディ500のグリッドは1列3台なので、2列目中央から500マイルのロングレースに臨む。
決勝日の天気は、今のところ雷雨の可能性アリと出ている。雨に見舞われなくても、湿度の高い1日になりそうだ。
平均時速350km/hで周回を重ねるインディ500では、気候がマシンや走行に影響を与える。それはF1ドライバーにとっても想像を超えるレベルと言われる。
プラクティス、そして予選まででアロンソが見せてきた順応能力は素晴らしいものだったが、未体験ゾーンの経験となる決勝でどこまで戦えるだろう。
インディ500では集団の乱気流の中での走りも難しい。アロンソはレース用セッティングで5日間プラクティスを走り、アンドレッティ・オートスポートの5人のチームメイトたちと多くのグループランもこなすした。
レース本番ではライバルたちの走りも変わってくる。遠慮は一切なくなる。そして、ラスト20周を切る辺りから、バトルはまた一段違った世界に入るという。アロンソがそこまでトップグループに戦い続け、優勝をかけたドッグファイトを繰り広げることを期待したい。
「インディ500では、すべてがうまくいかないと勝てない」
ベテランたちは口を揃えて言う。200周のレースではピットストップが6回以上ある。そのうちのひとつでクルーがほんの小さなミスを犯しただけで周回遅れに陥る可能性はあるし、終盤でのミスなら優勝のチャンスが吹き飛ぶケースさえある。
アロンソのクルーたちはドライバーと同じくスポット参戦。ピットストップの練習量、息の合い方、インディ500ならではのプレッシャーの大きさといった不安要素がある。マシンにトラブルが発生し、勝負を諦めなくてはならない時もあるだろう。
予選でポールポジションを争ったファスト9は全員が優勝候補だ。アロンソもここに含まれる。
しかし優勝候補の筆頭は、やっぱりポールを獲ったスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)だろう。過去100回のレースの記録を見ても、1位からの優勝が20回でもっとも多い。近頃のトレンドとして過去20年を振り返ってもポールからが4勝で最多だ。
優勝経験という観点からだと、予選3位のアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)、予選8位だったトニー・カナーン(チップ・ガナッシ・レーシング)にも優勝経験があり、未勝利組に対して一歩リードという感じだ。
予選ではホンダが優勢だったが、シボレー勢も侮れない。予選2位だったエド・カーペンター(エド・カーペンター・レーシング)はオーバル巧者であり、チーム・ペンスキーのエリオ・カストロネベス(3勝)、ファン・パブロ・モントーヤ(2勝)も中団グリッドから優勝を狙ってくる。
2014年ウイナーのライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)がレースモードで走ったプラクティス5日間でとても速かった印象がある。予選はクジ運の悪さでファスト9に入れなかったが、そのすぐ後ろの10位。1回目のピットストップ前までに楽々トップに立てるグリッドからスタートする。
日本期待の佐藤琢磨。8度目のインディ500は、インディ500で強いアンドレッティ・オートスポートからのエントリーとあって、予選は4位に食い込み、レースモードでのプラクティスでも安定した速さを見せてきた。
レースに向けたエアロセッティングが勝敗の鍵を握る。トラフィックでの走りも大事だが、トップを走った時に速いことも重要。セッティングがはまれば、琢磨が2012年のファイナルラップのリベンジを果たし、日本人初優勝を飾る可能性は十分にある。