#30 TOYOTA PRIUS apr GT 2017 AUTOBACS SUPER GT ROUND 3 オートポリス
開催地:オートポリス(大分県)/4.674km
5月20日(予選)天候:晴れコースコンディション:ドライ 観客数:1万0470人
5月21日(決勝)天候:晴れコースコンディション:ドライ 観客数:1万8200人
トラブルフリーで完走果たし、入賞にはあと一歩及ばずも、ここからの巻き返しを誓う!
オートポリスでスーパーGTシリーズの第3戦、「SUPERGT in KYUSHU 300km」が5月20日~21日に開催された。全8戦での開催が予定されるシリーズに、今年もaprは2台のトヨタプリウスZVW51を走らせ、「#30 TOYOTA PRIUS apr GT」を昨年に引き続き、永井宏明選手と佐々木孝太選手に託すこととなった。
そのふたりがスーパーGTでコンビを組んで2年目ということもあって大躍進が期待され、特に永井選手の進化が著しいことは、この2戦の走りをみれば明確だ。今回の舞台、オートポリスは高低差の著しいテクニカルコースとして知られ、ウエイトハンデがもたらす影響は決して少なくはない。そのコースにノーハンデで挑めることから大いに期待された。
公式練習5月20日(土)9:00~10:35
オートポリスのスーパーGTは昨年、熊本地震の影響を受けて中止となっていたため、2年ぶりの開催となる。今はもう、走行には支障のない状態とはなっているものの、施設の一部には影響が残っていて、ポティウムの後ろにそびえていたモニュメント「ビクトリータワー」や1コーナー寄りのロイヤルルームがなくなっていたのは、何か寂しさを隠し得なかった。
しかし、そんな印象をカバーしてくれたのは、天候に恵まれて今まで以上に、周辺の緑が鮮やかに映ったことだ。どうやら、この週末は一切雨の心配がなさそうで、絶好のレース日和となることが期待された。
もっとも土曜日は、やや天気が良すぎたかもしれない。午前中の公式練習から、もう5月らしからぬ暑さとなっていたからだ。そんななか、最初に「#30 TOYOTA PRIUS apr GT」のステアリングを握ったのは佐々木選手。
公式練習の開始とともにピットを離れ、まずはチェックを行なった後、すぐに戻って最初のセットアップが行われる。そして10分ほど経過したところから、本格的な走行を開始する。今回の公式練習では2回も赤旗中断があったものの、いずれもピットに戻っている最中とあって影響はまったくなし。
むしろ、その間4回ピットに戻っていたが、すべて長く留まることがなかったのはトラブルに見舞われることなく、セットアップが順調に進んでいることの証し。
1分46秒086と、公式練習のベストタイムを記した後に佐々木選手はピットイン。そして1時間を経過してまもなく、いよいよ永井選手の走行に移っていく。ロングランを担当した永井選手は、一度3コーナーでのコースアウトはあったものの、その後にもピットに戻らずセッション終了まで、1分49秒台でコンスタントに周回を重ねていった。
続いて行われたサーキットサファリでは、1周だけ佐々木選手がタイムを計測して、その後は再び永井選手が走行。前回の富士とは対照的に、たっぷりとマイレージを稼ぐこととなった。
公式予選Q1 5月20日(土)13:30~13:45
公式練習が行われた早朝からすでに暑さを感じていたが、太陽が真上に登った公式予選の頃となると、気温はさらに上昇。7月を思わせるほどとなり、路面温度は46度にまで達していた。その過酷な条件のもと、Q1に今回挑んだのは佐々木選手だ。
開始から間も無く、ターン4でコースアウトした車両があり、回収のため赤旗が出されてしまう。ただし、「「#30 TOYOTA PRIUS apr GT」にとっては、まだアタックを始める前であったことから、大きな影響を及ぼさずに済む。再開から最初の計測ラップでは1分49秒台に留まるも、クールダウンを挟んで再度アタックをかけると、佐々木選手は1分45秒766をマーク。ほぼQ1突破は確実であったものの、再びクールダウンしてラストアタックに賭ける。しかし、1分45秒956に留まりこそしたものの、10番手につけることとなり、Q2を担当する永井選手にバトンを託すことに成功した。
公式予選Q2 5月20日(土)14:15~14:27
インターバルにしっかり佐々木選手からインフォーメイションを授かった永井選手は、Q2の開始とともにコースイン。気温、路面温度ともQ1とほとんど変わらなかったことから、コンディションチェックも兼ねて2周をウォームアップに充て万全の状況で挑む。
まずは1分48秒596をマークして、その時点での9番手につけたが、ターゲットタイムには到達していなかったことから、永井選手はさらにコースを攻め立てていき、1分47秒178、1分47秒020と自己ベストを更新し続けた。
その結果、決勝レースには7列目、13番グリッドからのスタートとなった。今回ここまでトラブルに一切見舞われておらず、ドライバーもチームもベストを尽くしたが、ひとつ明らかになってしまったのは、ストレートでのパフォーマンス不足。
前回の富士と同じく、今年から大幅に絞られてしまったリストリクターの影響は、テクニカルレイアウトのオートポリスでも現れてしまっていた……。
永井宏明選手
「孝太君がQ1通ってくれたので、僕はQ2に出ることができたんですが、今回はトラブルなしで走れたことは良かったです。去年デビューした僕はGTではオートポリスを走れていないので、今回このクルマで初めてチャレンジすることとなりましたが、そういう対応はそこそこできました、でも、まだまだ課題もあるので明日までにそれを修正して、決勝に臨みたいと思います。今回を真の意味での開幕戦にしたいですね!」
佐々木孝太選手
「今回は練習走行からトラブルフリーで走れたので、タイヤ選択とかセットアップがちゃんとできたことで、Q1通ることに関しては問題なくいけました。贅沢言うと、もうちょっとタイム的には出て欲しかったですけど、まずはQ1を突破して永井さんにつなげるっていう役割は、しっかり果たせたという感じです。この暑さはまぁ、もともとタイヤに関して優しいというか、使いきれていないところもあるので、そんなにネガティブな要素とは思っていません。トラブルだけですね、心配なのは。公式練習の感じだと、決勝ラップは良さそうな感じなので、淡々とポイントを狙いにいきたいですね」
金曽裕人監督
「プリウスで永井選手がオートポリスを走るのは初めてなので、本人的にはまだやりたいことはあったと思うんですが、及第点以上の評価だったと思います。Q1を担当した佐々木選手ともどもクルマのバランス、タイヤのバランスも悪くないと言っているんですが、結果的にはタイムが出ていない。昨年よりリストリクターが小さく、エンジンパフォーマンスが低下。せめてJAF-GTの中で均衡化されてれば良いのですが、その差が大きいのはドライバーはつらいですね。ただ、言っても仕方ないので、決勝に向けてはいろいろ手を尽くしてみるつもりです」
決勝レース(65周)5月21日(日)14:00~
日曜日になると、土曜日ほど太陽のギラギラ感は薄い雲もかかったことよって若干抑えられ、より過ごしやすい絶好のレース観戦日和となっていた。そんなファンの2年分の渇望感は、スタンドをびっしりと埋めたことで明らかに。
ピットウォークやさまざまなセレモニーを経て、12時25分から20分間のウォームアップがスタート。ここで最終チェックが行われた。
今回もスタート担当は永井選手。このところ恒例となっている白バイ、パトカーの先導による大分県警のパレードランに合わせて、「#30 TOYOTA PRIUS apr GT」はグリッドを離れ、その後フォーメイションラップへ。そしてグリーンシグナルの点灯と同時にレースが開始される。
まずはポジションキープでレースを開始した永井選手はその後、背後に数台を引き連れた状態で周回を重ねていく。とはいえ、プレッシャーを感じている様子は一切なさそうだ。
ところが、5周目の最終コーナーでアクシデントが発生。ピットスタートから追い上げ、「#30 TOYOTA PRIUS apr GT」を抜いていったばかりのGT500車両がスピンを喫し、そこにGT300車両が追突してリタイアしてしまったのだ。即座にセーフティカーが入るとともに、ポジションはふたつアップして13番手に。SCの先導は12周目まで続いた。
リスタート後に、ストレートスピードに勝るポルシェの先導を許してしまったものの、その後はしっかり後続を抑え続けていた永井選手。そして、20周目には佐々木選手と交代し、最小限のロスでコースに戻されることとなった。全車がドライバー交代を済ますと、再び13番手を走行する。しばらくはその順位のまま周回を重ねていたが、ゴール間際になって展開が動く。
57周目に接触で1台、58周目にはホイールの脱落でもう1台、先行車両に交代があって「#30 TOYOTA PRIUS apr GT」は11番手に浮上。そういったアクシデントもあって、前にいた車両2台との間隔が一気に詰まる。入賞まであと一歩!しかし、あとコンマ2秒及ばず、11位のままチェッカーを受けることとなった。
永井宏明選手
「最後の周の差を見ると、もう1周欲しかったぐらいの接戦で、あと少しでポイント獲れたところだったので、本当に悔しい思いもしました。とはいえ前の岡山、富士に比べれば、すごく良かったとも思いますし、まずは先につながるような、そんな終わり方もできましたし、次を楽しみに、しっかり準備していきたいと思います。オートポリスを久しぶりに走ったので、それなりに対応はして来ましたが、コース幅も狭いですし、僕たちはストレートが苦しかったので、後ろのクルマが追いついてくるのを上手に堪えながら走るというのが、大変ではありましたね。でも、コーナーはJAF-GTのクルマというのは気持ちよく走れるので、そういう意味ではコーナーをしっかり走れて、レースしている感はすごくありました。クルマの特性をしっかり引き出して、幸太とふたりで今後いい戦いをできるようにしていきたいと思います」
佐々木孝太選手
「なんとか完走できましたが、せっかくポイントが獲れるチャンスのあるレースだったので、ちょっともったいなかったです。もう少しペースアップできるエンジンパフォーマンスがあればポイントが獲れたと思うので、残念です。タイヤにも余裕があったしバランスも悪くなかったのですがテクニカルコースで目一杯戦って入賞できないのは非常につらいですね。6月にテストが3回もあるので、何かしらのパフォーマンスアップ策を探さないと今年はずっと厳しい気がしますので、テストも気を引き締めて挑みます」
金曽裕人監督
「ひとつでも上に行こうと努力のレースをしましたけれど、ギリギリ届きませんでした。本来、JAF-GTの得意なサーキットなので、もっと上位でなければならないが、パフォーマンスの問題が最後まで響いてしまいました。このままだと、次のSUGOでも同じようなことが起こるので、どう知恵を絞るか考えていかなくてはならない。でもレースに関しては永井選手も佐々木選手も、きれいにレースを組み立ててくれたので、満足はしています。ただ、もっとプッシュできるマシンを与えていれば、ドライバー2人のパフォーマンスは日々向上しているので、上位入賞が可能だったかと思います」