元フォルクスワーゲンのワークスドライバー、アンドレアス・ミケルセンがシトロエンと契約。6月8~11日に行われるWRC世界ラリー選手権第7戦イタリアに参戦する。
2016年シーズンに2勝を挙げながら、フォルクスワーゲンのWRC撤退でシートを失ったミケルセン。最上位クラス復帰に向けては、これまでヒュンダイやトヨタと交渉を進めていると報じられてきた。
また、今季はシュコダからWRC2にも参戦。第1戦モンテカルロ、第4戦ツール・ド・コルスでクラス優勝したほか、先週末の第6戦ポルトガルでは最終SSでクラッシュするまで3分以上のリードを築いて、首位を独走していた。
そんなミケルセンがシトロエンと契約。現時点では1戦限りの契約ながら、ラリー・イタリアでステファン・ルフェーブルの代わりにシトロエンC3 WRCのステアリングを握る。
2016年を開発期間にあて、今年1年ぶりにWRCへ復帰してきたシトロエンだが、今季6戦を終えて勝利したのは第3戦メキシコのみ。マニュファクチャラーランキングでも最下位の4番手となっている。
チーム代表のイブ・マトンは「現在の成績が、シーズン開幕前に定めた目標にわずかに届いていない」ことが、ミケルセンとの契約につながったとしている。
「それと同時にアンドレアス・ミケルセンは、WRCのトップカテゴリーへ復帰するためにアクティブに活動していた」とマトン。
「このふたつが重なった結果、次のラリー・イタリア・サルディーニャで我々が走らせるC3 WRCの1台を任せることにしたんだ」
「こういったチャンスを得ることができて、本当に嬉しい」
チームとミケルセンは、ラリー・イタリア前に事前テストを1日のみ行うという。
「準備にあてられる時間が限られているから、アンドレアスが(ラリー・イタリアに)特定の目標を設けることはないだろう」
「我々も、彼のドライビングの安定性やマシンのフィーリングに注目するつもりだ」
■「経験不足は間違いない。それでも強力なチームからWRCのトップクラスに戻れることが嬉しい」
今回の契約に関して、ミケルセンも「2016年シーズン末から、僕がトップクラスでのシート探しをしていたことは公然の秘密だった」とコメントしている。
「だから、今回シトロエンと契約することができて本当に嬉しいんだ。彼らはWRCの歴史において輝かしい歴史を収めている。こういったチームとともに戦えるのは光栄なことだ」
「早くテストしたいし、ラリーに向けた準備を一刻も早くスタートさせたい。もちろん2017年型WRカーでの経験が不足していることは間違いない。それでも、強力なチームからWRCのトップクラスに戻れることが嬉しいんだ」
また、マトンは第8戦ポーランドからは、ふたたびルフェーブルがチームの一員としてステアリングを握ることを強調している。
今季、シトロエンが起用している3名のドライバーのうち、ルフェーブルとクレイグ・ブリーンはWRCでの経験が少ない若手ドライバー。なかでもルフェーブルのベストリザルトは旧型WRカーで出場した第2戦スウェーデンでの総合8位に留まっており、苦戦が続いていた。
マトンは「これは制裁の類ではないし、私たちの若手ドライバー育成に投資するという方針に疑問を投げかけるものでもない」と語る。
「今回の決定は、私たちのチャンスを最大限に有効活用するためのものだ。ステファン(・ルフェーブル)も今回の決定を受け入れている」
「もちろん、彼は引き続きチームの一員だし、ラリー・イタリアでもレッキを担当する。当然、第8戦ポーランドからドライバーに復帰するよ」