ヒュンダイからWRC世界ラリー選手権に参戦しているヘイデン・パッドン(ヒュンダイi20クーペWRC)は、5月18~21日の第6戦ポルトガルで、マシンとの一体感があったとコメント。ようやく自身の2017年シーズンが開幕した気持ちだとした。
チームメイトのティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)が今季2勝を挙げるなか、パッドンは開幕からクラッシュなどが相次ぎ苦戦。4月27~30日に行われた第5戦アルゼンティーナでは「キャリアワースト」のイベントだと語るほどの苦戦ぶりだった。
そのパッドンは先週末のラリー・ポルトガルでも電気系トラブルで総合順位は29位と低迷したものの、19SS中4SSでステージ優勝を飾るなど速さを発揮し、復調の兆しをみせている。
「(イタリアの)サルディーニャで行った事前テストでマシンに多くの変更を加えた。そのおかげでマシンとの一体感を感じられるようになった」とパッドン。
「今年初めて、マシンが体に馴染んできたように感じた。チームも今回のパフォーマンスには自信があると言ってくれていたんだ」
「サルディーニャでは、サスペンションとディファレンシャルの調整を行ったんだけど、それがうまく機能したよ」
パッドンは19日に行われたSS2でトップタイムを記録し総合首位に浮上したが、続くSS3で電気系トラブルが発生して上位争いから脱落。
その後、SS7でも同様のトラブルが再発しデイリタイアしたほか、翌20日には総合29番手走行中にステアリング周りのトラブルに見舞われたため、チームとパッドンはリザルトを追わずに、第7戦イタリアを見据えた走行に切り替えて臨んだ。
パッドンは「みんなが想像するように、ステアリング系のトラブル解決は最優先事項だ。チームは解決への糸口を見つけている」と語る。
「ただ、僕たち(ヌービル、パッドン、ダニ・ソルド)は全員同じスペックのマシンに乗っている。僕だけにトラブルが頻発するのは単純に運がないだけだけど、それでもフラストレーションが溜まるね」
■急きょのコドライバーは奏功。第7戦も新コンビで挑む可能性も
また、パッドンは先週末、長年組んできたジョン・ケナードの負傷により、コドライバーをセバスチャン・マーシャルに替えて参戦した。
今年58歳を迎えたケナードは当初、第7戦イタリアではコドライバーに復帰し、その後7月末の第9戦フィンランドを機に第一線を退く予定だった。しかし、ケナードが第5戦アルゼンティーナで股関節の持病を悪化させたため、このプランにも変更が加わる可能性が出ているという。
「当初はフィンランドまで一緒に戦うつもりだったけど、怪我によって一度プランが白紙になった」とパッドン。
「短期間でコドライバーを何度も変えるのは難しいんだ。(第6戦ポルトガルで組んだことで)僕とセブ(セバスチャン・マーシャル)は信頼関係を築き始めている」
「もちろん、ジョン(・ケナード)はチームの一員だから、全員が納得できる方法を見つけたい」
また、第6戦ポルトガルでキャリア初のWRCステージ優勝を飾り、総合首位のポジションも経験したマーシャルは「すべてがうまくいった週末だった」と大会を振り返った。
「ヘイデン(・パッドン)は、まるで数年間タッグを組んで走ってきたようなフィーリングだと言っていた。これはいい傾向だし、どこまで成長できるか楽しみだよ」
なお、チームマネージャーのアラン・ペナスは、コドライバーの件についてはパッドンとケナードに判断を一任していると述べている。
「この件については、長年コンビを組んできた彼らの思いも絡んでくる。だから、彼らふたりに決めてもらいたい」