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F.C.C. TSRホンダ EWC第3戦 レースレポート

2017年05月23日 16:22  AUTOSPORT web

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EWC第3戦 F.C.C. TSRホンダ
オッシャースレーベン8時間耐久ロードレース
F.C.C. TSR Honda、波乱に満ちたレースを5位でフィニッシュ!
ランキングはトップ差を“5”縮めながらも5位に

 週末に向けて雷雨など、当初は崩れる予報だったこの地方の天候は、幸いにして金曜日の夜中にかけて雷雨と強風が吹き荒れただけで、走行は常に安定した暑い日差しの元ドライコンディションで行われた。

 ところが、F.C.C. TSR Hondaの今季EWC第3戦決勝レースは、ほぼ最下位まで順位を落とした後にハイペースで追い上げ、3位を目前にしながらも最終的には5位でチェッカーを受けるという波乱に満ちた悔しいものとなった。しかしながら、EWCチャンピオンシップに向けては、ターゲットのトップチームの順位を上回ったことから、そのポジションを5位に落とした物の、逆にトップ差を縮めることに成功した。

 スタートライダーを務めたグレッグは、前回ル・マンと同様に好スタートを決めて、3位でオープニングラップを戻ってくる。しかし、その直後から明らかにペースが落ち8周目には順位を7番手あたりに下げてピットに戻ってきた。ライダーからのアピールでフロントタイヤを交換してすぐにコースに復帰するが、この序盤の始まったばかりのタイミングでのロスは、影響も大きくコースに復帰した後は一時30番手を走行することになった。原因はスローパンクチャーだった。しかし、落とした順位は大きいものの、ルマンと同じ2台が争うトップとの差は2周と、残り時間から考えれば致命的なものではないとチームの誰もが確信していた。

 その後もトップ差は2周のままで時間と周回を追う毎に順位を回復していくグレッグ、そしてジョシュの走りは場内を沸かせるものだった。序盤にセーフティカーが導入されたことも1スティント(一人のライダーが務める1回の走行時間帯)40~42周の約1時間を走行するが、グレッグもジョシュも自己ベストペースで追い上げ、特にジョシュは8時間のレースも終盤に入る227周目に1分27秒676のチームとしてのベストタイムをマークしながら、それまで5位に追い上げていたポジションを3位に引き上げることに成功したのだ。

 好事魔多し。ゴールが見えてくる残り1時間ほどとなったタイミングで、背中から腰を痛め体調不良で様子を見ていたダミアンが、このレースで初めて短い1スティントを担当することになった。そしてジョシュから3位で交代する時のピット作業で、ル・マンと同様のフロントタイヤ脱着トラブルで30秒ほどの時間をロス。初回を除いて、追い上げとともにスムーズなピット作業が続いていただけに、逆にここでのロスは3位を争っていたチームにとって、致命的なものとなった。

 5位へとポジションダウンしながらもダミアンは好ペースで周回し、最後のスティントをジョシュにバトンタッチ。ジョシュは夜9時を過ぎてようやく暗くなったコースでトップに匹敵するタイムで追い上げるが、ここでチェッカー。オッシャースレーベン8時間耐久レースを5位で締めくくった。

 EWCからは、今回のチームの健闘に対し、そのチャレンジスピリッツを賞賛する「Anthony Delhalle EWC Spirit Trophy」をF.C.C. TSR Hondaに授与することを決め、総監督藤井正和が上位3チームと同時に登壇して表彰されたことは、チームの戦い方が間違っていなかったことの証明であると誰もが確信した。

 マシンNo.5のF.C.C. TSR Hondaは、これで今季2016-2017EWCシーズン3戦、ボルドール、ル・マンと3戦連続で“5位”となった。EWC世界ランキングは“5位”に後退したが、トップとの差はこれまた5ポイント縮まり、特に意味はないが、“5”という数字が奇しくも揃った。この結果ランキング争いはさらに上位陣が接近する形となった。次のスロバキア(6月23日-24日)も8時間のレース。鈴鹿8耐での逆転を狙うためには、今回の課題・問題をクリアして走り切るしかない。