うつ病の疑いがある人のうち、医師に相談しているのは約1割にすぎない。塩野義製薬が、5月17日に発表した「うつ傾向のある人の意識と行動に関する調査結果」で明らかとなった。
うつ傾向があると「泣きたくなる」「消えてなくなりたい」と感じる人が過半数
一般生活者の男女20~69歳1万9975人のうち、
「最近1か月間、気分が沈んだり,ゆううつな気持ちになることがよくあった」
「最近1か月間、物事に対して興味がわかない,心から楽しめないことがよくあった」
のどちらかに当てはまる「うつ傾向あり」の人は7796人で全体の約4割に上った。
うつ傾向がある人のうち、「うつ病/うつ状態」の診断・治療を受けていない人が91.9%と大多数を占めた。「現在、医療機関で診断されている」と回答した人は、わずか8.1%だった。
うつ傾向のある人は、心身ともに様々な不調を感じているようだ。「物事を悪い方向に考える」に「よくある」「ときどきある」と回答した人は74.1%で、「いつもなら楽しいことが気が進まない、やる気がない」も73.9%に上った。
ほかに「疲労倦怠感」(76.5%)、「肩の痛み」(73.7%)、「睡眠障害」(70.8%)、「頭痛・頭重感」(70.3%)を訴える人はいずれも7割を超えた。
うつ傾向があるが、病院で治療を受けていない人に、身近なかかりつけ医(内科医)に専門外のことでも相談できるかどうか聞いたところ、「そう思う」(4.0%)、「ややそう思う」(18.4%)と回答した人は合わせて22.4%。一方、「そう思わない」(23.7%)「あまりそう思わない」(27.3%)と回答した人は、合わせて51%だった。
実際、身近なかかりつけ医に相談したことがある人は12.5%にすぎない。不調を感じていても、なかなか相談でない、そもそも相談しようと思っていないという人が多いことがわかった。
この調査を監修した藤田保健衛生大学医学部の内藤宏教授は、「うつ病は、決してまれな病気ではなく、誰でもかかる可能性のある病気です。患者さんは精神的・身体的な不調を感じたら、まずは身近なかかりつけ医などにしっかりと伝えることが重要です」と述べたという。
塩野義製薬の担当者は、キャリコネニュースの取材に対して、「不調を感じている人のQOLを改善するため、これからも情報提供に努めていきたい」と語った。