北米で開催されている人気シリーズ、GRCグローバル・ラリークロス選手権の第2戦が、ケンタッキー州ルイビルにあるエクスポジション・センターで開催され、ホンダ・レッドブル・オルスバーグMSEのシビック・クーペ・タイプRと、エースのセバスチャン・エリクソンが、ホンダにGRC初勝利をもたらした。
5月20日の予選ヒートで速さを見せたのは、開幕戦勝者であるディフェンディング王者のアンドレッティ・ラリークロス勢。スコット・スピード、タナー・ファウストのフォルクスワーゲン・ビートルは2セッションを制すると、セミファイナルでもそれぞれが勝利。
フォード・フィエスタのスティーブ・アルピンや、同じくフィエスタに乗るレイホール・レターマン・ラニガン(RLLR)のオースティン・デインも好調さを見せ、デインはヒート3Aで新規参戦チームに初となる勝利もプレゼントした。
一方のエリクソンは、チームメイトのミシェル・デヨング、オリバー・エリクソンとともにスロースターターとなるが、なんとか予選を4位で通過。続くセミファイナル2で2位をマークし、10台で争われる決勝ヒートのセカンドロウを決めた。
迎えたファイナル直前、0.699マイル(約1.124キロメートル)のコースにレインシャワーが襲来。ターマック路面はもとより、グラベル側はマッド・コンディションと化す。
昨シーズンに、同様のシチュエーションでぬかるんだグラベル路となったシアトル戦で、エリクソンのシビックは素晴らしい速さを披露。自身にとって最後の表彰台を獲得しており、ホンダ陣営にとっては“恵みの雨”となった。
フロントロウからスタートしたビートルの2台は、そのぬかるんだ路面を掻き分ける役目を担って苦戦。1コーナーではビートル同士が接触しながら懸命のグリップ探しとなり、エリクソンは3番手に。
そのままシビックは1周目の最初のジャンプスポットで首位のファウストに並びかけると、2台は着地でバウンドしながらサイド・バイ・サイドで最終コーナーへ。
■0.071秒差の激戦制し、ホンダがGRC初優勝
2周目に早くもジョーカーラップを消化する作戦を採ったエリクソンは、一時的に首位から陥落するも、マッド路面でのシビックのトラクションは明らかに力強く、600馬力を超えるパワーを有効に活用。
残り5周となった時点でトップに返り咲いたエリクソンは、2番手のアルピンから執拗にバンパーを突かれる状況となるが、最終ラップ、最終コーナーの立ち上がりでも力強い加速を披露。アルピンのフィエスタとトラクション勝負となり、2台は横一線でフィニッシュ。
わずか0.071秒の僅差でホンダ・シビックが先にゴールラインを横切り、この瞬間にホンダはレッドブルGRC初勝利をマーク。エリクソンにとってもうれしいキャリア2勝目となった。
「本当に素晴らしいリザルトだ。これまで経験したなかでも最高にハードなファイナルだったよ」と、喜びの表情で語るエリクソン。
「ここまでチームのみんなは懸命に働いてきたけれど、まだ通過点にすぎない。この先もトップに居続けるためには、今までと同じようにハードに働く必要があるね」
ホンダ・レッドブル・オルスバーグMSEは、これでチームランキングでもフォルクスワーゲン・アンドレッティ・ラリークロスに並ぶ首位タイに浮上。シリーズの早い段階で王者と互角に戦いを進める状況を整えた。
次戦ラウンド3とラウンド4の今季初開催“ダブルヘッダー”となるトンプソン戦は、アメリカ東海岸、コネチカット州の歴史的なトンプソン・スピードウェイ・モータースポーツ・パークで6月3~4日に開催される。