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【今宮純のキャッチポイント】モナコGP 5連勝を狙うメルセデス、真価が問われるBシャシーの効果

2017年05月23日 13:12  AUTOSPORT web

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モナコGP 5連勝がかかる王者メルセデス
モナコGP5連勝がかかる王者メルセデス
1戦限りの復帰を果たすバトンの走りも注目
 
 抗い難い迫力に興奮したF1モナコGP。ワイドな215cmマシンで争った最後の1992年、アイルトン・セナとナイジェル・マンセルは狭いコースで0.215秒差の激闘を演じた。まさに「抜けないモンテカルロ」、マンセルを封じ込んだセナ伝説の5勝目だった。

 2017年新規定F1マシンは、パワーユニットがさらにパワフルな1000馬力に進化、シャシーは180cmから200cm幅に広がり、ホイールベースも長くなった。より速く、ポールポジションレコードを次々に破ってきた“スーパーF1”を駆るドライバーたちがどんな走りを見せるか。前半5戦以上にチャレンジングな第75回モナコGP。

 おなじみのコース、今年の見どころを順に挙げていこう。ターン1のブレーキングポイントは変わり、初日はエスケープに逃げこむマシンも増えそうだ。ボー・リバージュの坂上にあるマスネ・コーナーは高速化、タイムレベルが上がるにつれてスピンのリスクも高まる。

 カジノから下るミラボーへの進入ラインはバンプを避けながらのアプローチ、そしてヘアピンだ。「世界一のスローコーナー」をワイドマシンでアクセルターン。海が見えてくるポルティエではトラクション重視、トンネル出口の最高速(決勝)は昨年296.7km/h(ニコ・ロズベルグ)、今年はやや落ちるか。

 シケイン~タバコ・コーナー~ピシーヌ・コーナー(プール・ベンド)では俊敏な回頭性が求められる。ダウンフォース増加によって車速が高まるだけに、キー・セクターはここになってくるはずだ。ラスカスを抜けた最終コーナーではリヤタイヤが過熱気味、ストレートに向け直進姿勢で立ち上がって加速……。


 この第5戦から、3スペックのドライタイヤ選定がフリーになる。最も軟らかいウルトラソフトを11セットとしたのはレッドブル、ウイリアムズ、ルノーの3チーム。9セットはメルセデスとトロロッソの2チームだけで、他の5チームは10セット。硬め指向なメルセデス、軟らかめなレッドブル、フェラーリはその中間。チョイスは分かれた。

 インディ500挑戦のフェルナンド・アロンソに代わり、1戦限りの復帰を決めたジェンソン・バトンがひとりだけ3スペックで一番硬いソフトを2セット選択。その意味は17年マシン慣熟走行が目的、これで周回を重ねる方針なのだろう。

 まったく事前に実走しないまま、シミュレーターだけで十分というのが彼とチームの判断。もし、マシンとパワーユニットにトラブルが出たら、慣熟テストのプログラムがこなせないことになる。昨年アロンソ予選10位、決勝5位、バトン予選13位、決勝9位とダブル入賞を決めたが、それに近い結果を挙げられるか。ノートラブルな週末を望むばかりだ。

■今宮純が厳選するF1第6戦モナコGP 7つの見どころ

キャッチポイント1
 レッドブル・ルノーが昨年ポールポジションを奪取、ダニエル・リカルドが善戦2位。現時点では第3の存在にいて、低中速エリアで2強に比べ“切れ味”がもうひとつ。ドラッグ軽視、ダウンフォース重視、モナコ対策のエアロパッケージでくる。ルノー製パワーユニット(TAGホイヤー)もドライバビリティ・チューンに賭けている。


キャッチポイント2
 3年目の初完走なるか。マックス・フェルスタッペンは過去2年ともクラッシュ連続。本人もそれを意識したうえでオーバードライブをつつしみ、リズムをつかんでくると思われる。マークしたい。

キャッチポイント3
 16年、15年、13年と木曜FP2最速ドライバーが土曜にポールポジションを獲得。イニシャルセットアップの正しさを初日に確認、先手を取ってから走行のない金曜にファインセットアップ、それがポールポジションにつながっている。気になるセッションはFP2だ。

キャッチポイント4
 逆転勝利になったものの、セッション1位が一度もなかった昨年のメルセデス。スペインGPからBシャシー投入、その戦力アップの効果がここで問われる。今季のニューマシンのなかでW08はロングホイールベース指向、このコースでその回頭性はどうか、セクター3が注目される。

キャッチポイント5
 セルジオ・ペレスが3位表彰台、ニコ・ヒュルケンベルグも6位、昨年のサプライズだった。高速コース指向のフォース・インディアがオールラウンドなパフォーマンスを発揮、中間チームのトップにのし上がったのはここから。現在ランキング4位、ライバルたちに狙われる存在だ。

キャッチポイント6
 新鋭たちのモナコGP、いつの時代もこのコースが、彼らには試金石だ。一貫性を見せ、100%入賞中のエスエバン・オコン、苦しいチーム環境で励むストフェル・バンドーン、さまざまなプレッシャーがかかるランス・ストロール。先輩チームメイトのペレスもバトンもフェリペ・マッサも、難しい初モナコを乗り越えて今がある。

キャッチポイント7
 ルイス・ハミルトンがポールポジションならば、セナ通算65回記録についに並ぶ(彼は194戦目、セナは生涯161戦)。フェラーリが勝てば、01年ミハエル・シューマッハー以来16年ぶりだ。メルセデスにはモナコGP5連勝がかかっている──。