F1シーズンを転戦していると普段見かけない人との出会いがある。そんな人に、「あなたは何しに、レースに来たのか?」を尋ねてみる特別企画。今回はマクラーレンのパートナー・アンバサダーを務めるミカ・ハッキネンだ。
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F1スペインGPのパドックで、現役時代のヘルメットを持参して来たファンとツーショットに収まっていたのが、ミカ・ハッキネンだ。いったい、ハッキネンは何しに、スペインGPに来ていたのだろうか?
「おまえ、知らないのか? 私は今年の3月にマクラーレンのパートナー・アンバサダーに就任したんだぞ!! F1グランプリに来るのは、当然だろう」
そうハッキネンは開幕直前の3月16日に、マクラーレン・オートモーティブのパートナー・アンバサダーに就任。さらに、2006年から続けているマクラーレンのスポンサーのひとつであるジョニー ウォーカーの大使でもある。スキー中の転倒事故で頭部に重傷を負って意識が戻らないままのミハエル・シューマッハーと昨年引退したばかりのニコ・ロズベルグを除くと、引退したチャンピオンの中で、最後に王座を獲得した王者ということで、F1界での人気は依然として高い。
そのハッキネンの目には、現在のマクラーレン・ホンダはどのように映っているのだろうか。
「マクラーレンには偉大な歴史があり、私が一緒に仕事をしてきたときから、大勢の優秀なスタッフがいたし、いまもそうだ。最高のドライバーと優秀なエンジニアがいる。確かにここ数年は低迷しているが、何も心配することはない。復活するのは時間の問題だ」
98年と99年に2度ワールドチャンピオンに輝いたハッキネン。しかし、その2つはマクラーレンでメルセデスとともに手にしたタイトルだった。ホンダについては、どのような印象を持っているのだろうか。
「ホンダも、マクラーレンとともに過去に偉大な記録を築き上げた歴史がある。だから、私は彼らが再び何かをやってくれると信じているし、その時が早く訪れるよう協力したい」
ちなみにハッキネンと話をしたのは日曜日の午前中で、マクラーレン・ホンダについての質問の後、ロシアGPで初優勝したバルテリ・ボッタスについても尋ねてみた。なぜなら、ハッキネンはボッタスをマネージメントしている会社のひとりだからだ。
「バルテリは素晴らしいドライバーであることが証明できてうれしいよ。彼には今日のレースでもチャンスがある。バルセロナはスタートで良いポジションを得ることが重要。ここはコーナーが多いので、遅いクルマの後ろにとどまるとダウンフォースを失いやすいからだ。スタート直後の1コーナーが勝負になるだろう」(ハッキネン)
そのハッキネンのアドバイスを聞いたのかどうかはわからないが、それから数時間後、ボッタスは1コーナーで多重クラッシュの一因を作ってしまった。レース後、パドックでハッキネンに再会することはなかった。