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FIA-F4:2年ぶりのオートポリス戦で笹原右京が2勝目。「ヨーロッパのコースのよう」

2017年05月22日 17:22  AUTOSPORT web

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FIA-F4選手権第5戦を制した笹原右京(HFDP/SRS/コチラレーシング)
オートポリスでは併催のスーパーGT同様、2年ぶりに行われたFIA-F4選手権は、第5戦で笹原右京(HFDP/SRS/コチラレーシング)が今季2勝目をマーク。そして第6戦では、大湯都史樹(HFDP/SRS/コチラレーシング)が今季初優勝。4人目のウィナーが早くも誕生した。

 熊本地震の影響で、昨年はスーパーGT同様レースが中止となっていた、オートポリスのFIA-F4。2年ぶりの開催ということは、ルーキーは当然のこととして、2年目のドライバーでもFIA-F4そのもののレース経験はないということになる。

 そこで俄然注目されたのが、河野駿佑(HubAuto F110)や平木湧也(DENSOルボーセF4 FTRS)、篠原拓朗(MediaDo ADVICS影山F110)、そして石坂瑞基(DADSFC SUTEKINA F4)ら、シリーズ参戦3年目のドライバーたち。実際に揃って予選では上位につけたものの、そんな経験をいとも容易く打ち崩したのが、いまもっとも流れに乗るドライバーたちだった。

 第5戦のフロントロウに並んだのは、岡山の第1大会で優勝を飾っている笹原と角田裕毅(SRS/コチラレーシング)で、このふたりに続いたのは大湯と宮田莉朋(FTRSスカラシップF4)。宮田は2年目のドライバーという印象が強いものの、実は16歳になってまもなく、2015年にもスポット参戦の経験を持ち、実はオートポリスで表彰台に上がったことも。

 そう考えると、この4人の中では大湯が不利なように思えるだろうが、実はスーパーFJを戦っていた頃に、やはりオートポリスにスポット参戦の経験があって、優勝も飾っていた。そういった意味では、それぞれ経験と勢いで状況はイーブンだったということかもしれない。

 しかし、決勝では角田がスタートでエンジンをストールさせてしまい、大きく順位を落とすなか、好スタートを切ったポールシッター笹原が大湯、宮田を寄せつけず。終盤からは引き離しにもかかっていた。

 対照的に、明らかに苦境にさらされていたのが大湯だった。「縁石に乗った時の衝撃なのか、右リヤのタイロッドが曲がってしまって。普通そんなことあり得ないですけど」と語るように、ペースが思うように上がらなくなる。

 そこに迫ってきたのが宮田。終盤には、さらに川合孝汰も加えて激しい2番手争いを繰り広げる。だが、「前半重視のセットにして、スタートに賭けていたんですが、前(角田)でストールがあって、トップに立てなかったのが痛かったですね」と逆転の決め手を欠いてしまう。

 そして辛くも大湯が2番手を守り抜いたのを尻目に、笹原は大差をつけてフィニッシュ。宮田に並ぶ2勝目をマークすることとなった。

「勝てましたが、やっぱりこのコースは厳しいですね。以前、走っていたヨーロッパのコースみたいで、楽しいコーナーが多くて、好きなタイプではあるんですが、後半は僕もタイヤがつらくて……。だから、後ろで競っていてくれて助かりました。明日は3番手からのスタートですが、今日のようにスタートを決めてまた引き離します」と笹原。

 その言葉にもあるとおり、笹原の前に第6戦で並ぶことになったのは大湯と宮田。そして、脇には角田と、激しいバトルが繰り広げられるであろう、お膳立てはふたたび整えられていた。何しろ聞きしに勝る、抜きにくいコースであるだけに、第5戦の笹原同様、ポールシッターの大湯が第6戦で圧倒的に有利なのは間違いなかったが、ひとつ不安材料を挙げるとすれば、前述のトラブルで少なからずタイヤを傷めていたであろうこと。その影響がどれほどか、ということ。

 まず第6戦のスタートで、角田がリベンジを果たす。好スタートを決めて笹原の前に。さらに宮田にも迫らんばかりの勢いを見せたが、それは鉄壁のガードで逆転を拒まれる。その激しい攻防の間に、大湯はオープニングラップのうちに1秒3ものリードを作り、宮田、角田、笹原を寄せつけず。

 このリードが、それほど広がっていかなかったのはタイヤのダメージが大きかったからではなく、しっかり温存していたため。

「宮田くんの序盤のペースは良くないのは分かっていたので、終盤に備えていました」と後に大湯は語る。宮田とはしばらくの間、等間隔を保っていたのが、その何よりもの証明だ。

 そんな大湯の予想どおり、ラスト2周に宮田は急接近。そして最終ラップの1コーナーで宮田は猛攻を見せるも、しっかり大湯はガードを固めていく。逆にターン3で宮田は痛恨のコースアウトを喫し、復帰は果たしたものの、その間に角田と笹原の先行を許していた。

 痛恨ではあったが、レース後の宮田の表情も晴れやかだった。「守るだけのレースをするドライバーじゃない、というのを周囲にわかってもらえたと思います。あのまま第5戦と同じようなレースしていても、そんなに意味はないので」と胸を張って宮田は答えていた。

 そして、激戦の末に今季初優勝を飾った大湯にもまた、その表情には笑顔があふれていた。

「これまでずっと流れが悪かったので、本当にやっと勝てたという感じで。今日に関してはタイヤが厳しいなか、序盤はしっかりセーブしていました」と大湯。

「宮田くんの序盤のペースが良くないのはわかっていたし、終盤に追いつかれるのも予想していました。でも、思っていたよりきたのが遅かったことで、宮田くんもちょっと焦ってコースアウトしたんじゃないでしょうか」

「正直、いままでプレッシャーもありました。チームメイトのふたりに先に勝たれたり、岡山では流れに乗れなかったり、富士では最善を尽くしてもなお、勝てなかったり。昨日もトラブルがありましたから……。でも、もう大丈夫。ここから勝ち続けて、チャンピオンを獲ります!」

 なお、参戦3年目のドライバーで最上位は第5戦が河野で5位、篠原が続いて6位に。第6戦では平木の6位、石坂が7位だった。彼らにも、そろそろ会心の一発を期待したいものである。

 2017年のFIA-F4選手権、第7・8戦は7月22~23日にスポーツランドSUGOで行われる。