2年ぶりの開催となるスーパーGT第3戦オートポリスが5/21決勝が行われ、GT500クラスは7番グリッドからスタートしたau TOM'S LC500がセーフティカー、レクサス同士の接触と大接戦の中を抜け出し、今季初優勝を飾った。
晴天の中で迎えた決勝日。2年ぶりのオートポリスでのスーパーGT開催とあって、1万8200人という多くの観客がサーキットに訪れ、1コーナーの観客戦はほぼ満員状態に。グリッドウォークも多くのファンで賑わった。
グリッド前のウォームアップ走行では、ARTA NSX-GTがコース上でストップするアクシデントがあり、グリッド中もメカニックが懸命に修復作業。ストップしてしまった原因は定かではないが、開幕戦で起きたセンサー系のトラブルと同じような症状だったという情報もある。
ARTAはグリッドには付かず、隣のピットのKEIHIN NSX-GTと並んでピットロードスタートとなった。
時計の針が14時を示したところで、大分県警による白バイ5台とパトカー2台の先導によるパレードラップが行われ、その後、フォーメイションラップに。ポールポジションのRAYBRIG NSX-GTを先頭に、各車車体を左右に大きく振って、タイヤを温める。
シグナルがグリーンとなり、いよいよ65周に渡るレースがスタート。
グリッド順どおりに1コーナーに入って行き、オープニングアップでの順位変動はなし。RAYBRIGのステアリングを握る山本尚貴が先頭で周回を重ねる。
山本は2番手走行のS Road CRAFTSPORTS GT-Rの本山哲に2周目で1.6秒差、3周目に3.4秒差を付ける1分35秒中盤のハイペースで周回。トップが抜け出し、2番手以下が集団になる形で序盤は進んでいく。
その後、隊列は変わらず膠着状態に見えたが、5周目に大きなアクシデントが発生。最終コーナーで小林崇志がステアリングを握るARTAがGT300マシンと絡んでスピン、そこにGT300のTOYOTA PRIUS apr GTがARTAを避けられずにクラッシュ。そのプリウスにUPGARAGE BANDOH 86が接触してコースをはじき出されるという多重クラッシュが発生。すぐにセーフティカー(SC)が導入される。
ARTAの小林とプリウスの久保凛太郎はマシンを降りてコースサイドで会話をしており、大きな怪我はなかった様子。
ホームストレートに隊列を整わせ、SC先導による周回が行われるも、クラッシュ現場にかなりのオイルが撒かれてしまったようで、処理に時間がかかってしまい、13周目まで8周に渡る長いSCランになってしまう。
14周目にレースが再開。再スタートのローリングスタートでは順位は変わらず。
15周目の2コーナーでWAKO'S 4CR LC500とau TOM'S LC500がサイド・バイ・サイドで接触。一瞬、WAKO'Sのアンドレア・カルダレッリが横を向きかけるがすぐに修正。しかし、6番手のポジションをauのジェームス・ロシターに奪われてしまう。ペースの速いロシターはそのまま1コーナーで5番手のKeePer TOM'S LC500もオーバーテイク。
WAKO'SのカルダレッリもKeePerの背後に続いていく。KeePerはランキングトップでウエイトハンデが重く、ペースが上げられない。5番手に上がったauロシターはそのまま4番手MOTUL MUGEN NSX-GTの武藤英紀の背後に。そして19周目のストレートでMOTUL NSXのスリップに入り、ロシターは一度インに入る牽制を入れて、そのままインを付いて1コーナーでオーバーテイク。4番手に上がる。
その後方では6番手のKeePerの後ろで各車バトル。WAKO'SとZENT CERUMO LC500の3台によるレクサス内バトルが激しくなる。
トップはRAYBRIGが約3秒、2番手のS Roadを離し、S Roadはペースが上がらない。その隙を3番手のDENSO KOBELCO SARD LC500ヘイキ・コバライネンが逃さず、21周目の1コーナーでS Roadのインを差して2番手に。S Roadの本山はその後のauにも第2ヘアピンでオーバーテイクを許してしまい、4番手に後退してしまう。全体的にレクサス陣営の勢いがいい。
その21周目には3台で争っていた6~8番手争いで、ZENTの立川祐路がGT300の絡みで2台のLC500をオーバーテイクして、一気に6番手に。
トップのRAYBRIG NSX-GTは20周を過ぎてペースが落ちて行き、24周目には2番手DENSOと0.5秒差のテール・トゥ・ノーズに。さらに3番手のauも2台に追いつき、トップの3台がワンパックで周回する接近戦となる。
25周目にはGT300を上手く使ってRAYBRIGが2番手を2秒離すも、すぐに後方の2台が追いつき、再び3台が1秒~1.5秒差内で争う緊迫の展開に。
中団争いでは第1ヘアピンで6番手ZENT立川がGT300と接触してしまい、8番手に後退。29周目には6番手に上がったKeePerがピットイン。ドライバー交代してコースに復帰するも、運転席側の左ドアが1コーナーで開いてしまう。ドライバーが自ら閉めたか、ドアは閉まり大事には至らなかった。
そこからレクサス陣営のピットインが続き、33周目にトップのRAYBRIGと3番手のDENSOが同時ピットイン。作業時間はモニター上でRAYBRIGが41秒、DENSOが34秒とDENSOが7秒早く、ピットロードで逆転。RAYBRIGのトップが奪われてしまう。
ピットインタイミングを伸ばしたauが暫定トップに立ち、auは36周目にピットイン。ロシターからステアリングを引き継いだau中嶋一貴はDENSOの前でコースに復帰するも、アウトラップでDENSO平手晃平とバトル。追う平手は第2ヘアピン立ち上がりでリヤを滑らせながらau一貴を追うも、抜けず、2台はテール・トゥ・ノーズのまま周回。
ピットインを終えて、3番手に下がったRAYBRIGはその後、トップの2台が1分39秒台で周回する中、1分41秒台とペースが厳しい。40周目には4番手のS Road千代勝正に追いつかれ、バトル状態に。さらに5番手KEIHIN小暮卓史、6番手WAKO'S大嶋和也も数珠つながりに続き、4台のマシンによる表彰台を懸けた戦いがヒートアップする。
44周目にはそこにMOTUL AUTECH GT-R松田次生も加わり、5台ワンパックによる表彰台争いに。44周目にはまずはKEIHIN小暮がS Road千代をパス。その後、WAKO'S大嶋がS Road千代をかわして5番手に。そこに8番手KeePer平手も加わり、6台による接近戦に。
6台による表彰台争いが続くなか、ピットガレージでは走行を終えたauのロシターとDENSOコバライネンが握手でお互いの健闘を称えるシーンも。しかし、その直後、50周目の14コーナーでau一貴のインにDENSO平手が入り、第3セクターのブリッヂに向かう上りコーナーに2台が並んで入り、接触。DENSOがスピンし、コースアウトしてしまう。auも右フロントバンパーのカナード付近のエアロを破損してしまうも、トップをキープ。
その後方ではまずは5番手WAKO'S大嶋が第2ヘアピンで4番手KEIHIN小暮のインに飛び込み、2台が接触しながら立ち上がり、KEIHIN が4番手を守る。その後、53周目にDENSOが去って2番手となったRAYBRIGとKEIHINが1コーナーでサイド・バイ・サイドになり、2台は併走したまま4~5コーナーまで進み、最終的にKEIHINが前に。場内を沸かせる。
その後、注目どころは3番手のRAYBRIGと4番手S Roadの戦いに。守る伊沢、攻める千代。残り5周となって、そこにMOTUL GT-R次生が加わり、3台による最後の表彰台争いに。
61周目、残り4周となったところで1コーナーで千代が伊沢にアウトから並び掛かり、2コーナー付近で千代は一度オーバーテイクするが、第2コーナーはストップしたGT300の処理でイエローフラッグが出ており、前に出た千代は順位を譲る形で伊沢を前に。3番手争いが一度リセットする形で、そこから再びバトルに。しかし、残り3周となったところでGT300のマシンのタイヤが外れるなど、コース上では2箇所でイエローフラッグが振られる状態で、2台は接近しながらも追い抜きが難しい状況に。
結局、フロントのエアロが壊れたままでauがトップフィニッシュ。2番手にKEIHIN 、3番手RAYBRIGの表彰台となった。後方ではポイント圏内を走行していたWAKO'Sにトラブルが発生した模様で、残り3周でピットイン。入賞を逃している。
これで今季3戦連続レクサスLC500が優勝。KEIHIN、RAYBRIGの2台のホンダNSXがレクサスの表彰台独占を打ち破り、4位S Road、5位MOTUL GT-Rと、2台のニッサンGT-Rが揃って上位フィニッシュを果たすなど、スタートからフィニッシュまで65周、3メーカーそれぞれ手に汗握る緊迫したバトルが繰り広げられ、大混戦の好レースとなった。