GTアソシエイションの坂東正明代表による定例記者会見がスーパーGT第3戦オートポリスで行われ、坂東代表は今回のホンダNSX-GTの最低重量1049kgから1034kgへと変更された参加条件について、その経緯と見解を述べた。
クラス1規定に準拠したレクサスLC500、ニッサンGT-RニスモGT500の最低重量1020kgに比べ、これまでの今季の2戦はミッドシップハンデとして、1049kgと25kg重い最低重量で走行していたホンダNSX-GT。しかし、ホンダ陣営としては2016年は未勝利で、今季の2戦でも厳しい戦いを強いられていたことから、この2戦のパフォーマンスが考慮され、15kg最低重量が実質軽減される参加条件となった。まずこのミッドシップハンデの経緯について、坂東代表が説明した。
「ホンダはNSX-GTコンセプトの頃からミッドシップ(MR)でやってきたが、当時はMRハンデとハイブリッドハンデがあり、JAF-GTとしてFRのレクサス、ニッサンとの“コラボレーション”として基本やってきた。NSXは生産車両が基本的にMRのハイブリッドで、前社長(伊東考紳氏)から話をし、ホンダはJAF-GTとして参加している」
「その後、ハイブリッドはバッテリーの問題があって下ろすことになったが、自分たちの規則のなかでは、ハイブリッドのMRという生産車両があったので、その形でOKであるとしてスーパーGTで戦ってきた。だが、ハイブリッドを下ろすことができるのであれば条件が違ってくる。ハイブリッドを降ろせるのであればFRでいいのではという話もしたが、昨年からMRハンデだけになり、これが29kgだった」
「MRハンデの29kgは3メーカーでコミットしており、その考え方は今も変わっていない。ただ、我々としてはホンダが2年間勝ちがない状況下で、今後のGT500の3メーカーが拮抗した争いをすることや、お客様に対して面白いレースを届けられることを考慮して、今回の15kg減というのを決めた」
なお参加条件の変更は、もともと一昨年からホンダ側から要請があったという。ただ、坂東代表によれば2017年は車両の変更もあり、中低速コースの第1戦岡山、高速コースの第2戦富士と、2戦を終えてから判断が下されたという。
「なぜ15kgなのかは、その2戦のデータを分析して、有識者の意見をもとに性能調整委員会で考えたところもあり、最終的にGTAで判断した」
今季は開幕2戦でレクサスLC500が連勝、表彰台独占を飾っているが、今後についてGT500で参加条件が変更されることは「今のところはない」と坂東代表。GT500はこの第3戦の条件でしばらく戦いを続けることになる。もちろん、坂東代表としては今後は3メーカーともに同じ車両形式で参加し、参加条件が均一になることを望んでいる。
「細かくやっていると個別性能調整みたいになるので、あまり触りたくははない。参加条件の調整は誰にとっても不満が起きるものになる」
なお、坂東代表は第2戦富士の後にホッケンハイムで行われたDTM第1戦を訪れ、新しくDTMをプロモートするITR e.Vの代表に就任したゲルハルト・ベルガーと二度に渡って会合を行ったことも定例会見で述べた。DTMとの今後のクラス1規定の統一についてはこれから進展していく見込みで、今後ベルガーが来日しながら、「6週間以内」に新たな合意が結ばれることになる。