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スーパーGT第3戦500予選《あと読み》決勝もまたサバイバルの様相。上位陣に不安要素あり

2017年05月21日 06:42  AUTOSPORT web

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予選結果から弱点の少ない3番グリッドになったDENSO LC500が決勝の本命に。
RAYBRIG NSX-GTが2番手にコンマ6秒という大差を付けてポールポジションを獲得したスーパーGT第3戦オートポリス。RAYBRIGが速さを見せたのは疑いようのない事実だが、その一方、有力ライバルたちが自滅していき、予選はサバイバルのような展開になったことも見逃してはならない。そして決勝もまた、予選結果の順とはいかない気配が漂っている。

 今回のオートポリスでRAYBRIGと同様に予選上位が期待されていたのは、同じNSXでブリヂストンユーザーのKEIHIN NSX-GTとARTA NSX-GT。しかし、KEIHINは小暮卓史が予選Q1でオーバーランからのクラッシュで最後尾グリッド、ARTAはステアリングを握った小林崇志がウォームアップで前のクルマに近づきすぎて間隔を調整している内に、小暮のクラッシュによるイエローフラッグでアタックのタイミングを逃して14番手。ホンダ陣営としては、RAYBRIGがトップを奪ったものの、期待されたKEIHINとARTAが最後尾に並ぶという、万感こもごも至る内容となった。

 ニッサン陣営としては2番手を獲得したS Road CRAFTSPORTS GT-Rの本山哲が「エンジン面、セットアップ面と、クルマのベースは確実にアップしている」と、GT-Rのパフォーマンス向上を証明するように2番グリッドを獲得。予想以上の高気温になったことで、夏場を得意とするミシュランタイヤがマッチしたことが好循環を生み出しているようだ。

 だが、その一方、同じミシュランタイヤを装着するMOTUL AUTECH GT-RはQ1ノックアウト。S Roadと比べて24kgのウエイトハンデ差があったとはいえ、Q1での両者のタイム差は約1秒と大きすぎる。練習走行から予選Q1に掛けて路面温度が9~10度上昇しており、Q1ではその対応がうまくできたチーム、ドライバーが生き残るような結果になった。

 レクサス陣営としても、優勝候補の最右翼と目されていたau TOM'S LC500がQ2で飛び出してしまい7番手。その煽りをくらってZENT CERUMO LC500とWAKO'S 4CR LC500がアタック中のタイム抹消でグリッド降格と、開幕戦に続いて陣営内での同士討ちのような形になってしまった。

●サバイバル戦となりそうなGT500決勝。その中での本命は………

 結論から言えば、3メーカーとも本来上位に来る速さがあるはずの有力チームが相次ぐアクシデントで順位を下げたため、決勝では彼らが順位を上げてくることは間違いなく、GT500の決勝は大きな順位変動が見らる展開になりそうだ。

 その中でも注目点としては、トップのRAYBRIGのロングランペース&タイヤのピックアップ(タイヤかすが取れずに自分のタイヤの表目に残り、グリップ低下を招く)の度合いと、そのタイミング。決勝日は予選日と同じく路面温度が50度近くになる夏日となりそうで、タイヤのタレが厳しくなる。タイヤがスライドしてしまう状況が多くなればなるほど、ピックアップの頻度は高まってしまう。

 RAYBRIGには練習走行時からすでにピックアップの症状が見られていたとの情報もあり、決勝日にどこまでピックアップを起こさない/起きても小被害に留める対応ができるかが勝負どころとなる。もしピックアップが早い段階で起きてしまったり、またはその箇所が前輪に起きてしまうようだと、走行しながら前輪のタイヤかすを獲ることは難しく、ペース低下の大きな要因になってしまう。フロントを滑らさない走りが決勝中の重要なミッションとなりそうだ。

 また、2番手のS Roadに関しては、「気温が高くなった予選のミシュランのパフォーマンスはたしかに高かったけど、決勝では摩耗が厳しいのではないか」というライバル陣営の見方もあり、高温下でのタイヤマネジメントが勝負どころとなりそう。さらにヨコハマタイヤ陣営も、持ち込んだタイヤ選択を若干、外してしまったようで、MOTUL MUGEN NSX-GTが一発のタイムを出して4番グリッドを獲得したものの、明日は5番手以下の猛追を抑えるような展開になると予想されている。

 と、ここまでの上位の状況を鑑みて、これまであまり触れられなかった1台がある。3番グリッドのDENSO KOBELCO SARD LC500だ。

 DENSOはauと同じく、今回のレクサス陣営の中で燃料流量リストリクター制限を受けていないブリヂストンユーザーで、優勝候補の一角ではあった。ただ、練習走行で7番手、予選Q1でも4番手と特段、目立ったパフォーマンスを見せておらず、あまり本命視はされていなかったが、話題に上がらない影でしっかりとQ2に残り、そこで2列目グリッドを獲得していた。

 予選上位の面々の多くのマシンに、ウイークポイントになりそうな不安要素が見られる一方、今回のDENSOにはタイヤ、ドライバー、セットアップに弱点が見られない。予選と同様にサバイバルになりそうな決勝の展開の中で、昨年王者がスルスルとトップに上がって行きそうな気配が漂っている。