立て直しを図りたいレッドブル・レーシングを助けるため、この数週間、チーフテクニカルオフィサーのエイドリアン・ニューウェイがF1活動への関与を密かに増やしていることが分かった。
F1テクニカルレギュレーションが大幅に変わった今年、メルセデスの最大のライバルになるのはレッドブルであると予想されてきた。しかし風洞の相関精度に問題を抱え、空力効率のコンセプトが十分なダウンフォースを生み出していないことにより、レッドブルは優れたパフォーマンスを発揮できずにいる。
レッドブルはスペインGPで大きなアップデートを導入、それが予選ペースを中心に、上位との差を縮めることに役立ったようだが、さらに一層の前進が必要であると実感している。
レッドブル内でのニューウェイのF1に関する任務は近年縮小してきており、彼はおよそ半分の時間をアメリカズカップやアストンマーチン・ハイパーカーといった他のプロジェクトに費やしていた。
しかしチーム代表のクリスチャン・ホーナーは、プレシーズンテストでレッドブルの競争力の欠如がひとたび明らかになると、花形デザイナーであるニューウェイの関与が増えてきたと明かした。ニューウェイはスペインGPを含め、今季2回、グランプリの現場に足を運んでいる。
バルセロナでニューウェイが姿を現したことについて聞かれホーナーは、次のように答えた。
「彼はドライバーが言い続けていることに非常に慎重に耳を傾けていた。ドライバーにとっては医者のもとに訪れるような感じだ」
「彼はドライバーのフィードバックやコメントを熱心に理解しようとしていた。それに従ってこのパッケージを進化させることを考えていくだろう」
「(冬の間)彼はこのマシンの開発作業のバックグラウンドで、50パーセントの時間を捧げてきた。バルセロナテスト以降、関与は深まってきた。そういう状態がしばらく続くだろうと考えている」
ニューウェイがF1における役割を拡大できるようになったのは、アストンマーチンのハイパーカープロジェクトに関する仕事が軽減してきたからであるという。
「彼はそれら(アストンマーチンに関する任務)を縮小してはいないが、サイクル内で彼の要素は今や終了したか結論に近づいている」とホーナー。
「今はデザインの世界になる。今年後半、再び彼が他のプロジェクトについて考えることになるだろうが、今のところは(彼の努力の)大半がF1に注がれている」
ニューウェイはフルタイムでF1に取り組むことは望んでいないが、彼をプロジェクトの重要な要素に据えるためのプロセスは今も存在している。
「彼が関わってきたのは間違いない」とホーナーは加えて言った。
「彼は毎週ミーティングに参加しており、マシンの今の開発、このマシンのコンセプトに深く関わってきた」
「デザイングループは、エイドリアンの非常に個性的なやり方に適応するよう作られている」