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戸田恵梨香、女優キャリアは第二章へーー『リバース』『無限の住人』で見せた“大人の色香”

2017年05月19日 10:03  リアルサウンド

リアルサウンド

『無限の住人』(c)沙村広明/講談社 (c)2017映画「無限の住人」製作委員会

 20代の女優の中でも圧倒的な演技力で数々の名作に出演してきた戸田恵梨香。28歳となり急に大人っぽくなった印象を受ける戸田は現在、TBSドラマ『リバース』や、絶賛公開中の木村拓哉主演映画『無限の住人』に出演し、大人の色香漂う女性を演じている。人として、役者として次のステージへと着実に進んでいる戸田を考察してみたい。


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 戸田と藤原竜也が映画『デスノート』以来11年ぶりの共演ということもあって、話題となっているミステリードラマ『リバース』。このドラマでの戸田は、これまでよく演じていた強気な女性ではなく、とても地味で純粋な小さなパン屋に勤めている女性だ。落ち着いた大人の女性だからこそ深瀬とのキスシーンが妙にリアルでエロティックだった。また、だからこそ可愛いくもあり、ミステリアスさが増す。計算されたような深瀬との出会いや、鍵を無くしたと言って家に押し掛け、キスまで発展してしまう展開は、静かな中に何か復讐めいた計画を感じる。もちろんドラマは最後まで見ないと展開は分からないが、そこにあるのは純粋な心なのか、狂気なのか、落ち着いた演技だからこそ心が読めない。さすがの演技力。戸田は物語のキーパーソンになっているに違いない。


 一方、映画『無限の住人』での戸田演じる槇絵は、ヒロインの浅野凜(杉咲花)の復讐の相手である逸刀流の統主・天津影久(福士蒼汰)に思いを寄せる逸刀流の剣客で、万次(木村拓哉)を追い詰める役どころ。普段は遊女として豪華絢爛な花魁姿の佇まい。自身初となる本格的なアクションシーンでは、必死に戦うワイヤーアクションと共に、着物から見える美脚が実にセクシーで、今まで見せたことのない大人の色香に絶賛の声が上がった。単純に見た目がセクシーというだけではない。愛して尊敬していた天津の考え方は間違っているんじゃないかと苦悶し、自身の進むべき方向に迷いが生じる。そして剣の腕は圧倒的に秀でているのに、心は脆く弱い。そのさじ加減が絶妙なのだ。さらに、杉咲の若さ故のストレートな苦しみの演技に対し、実に深い大人の女性としての悲しみと苦しみを表現している。


 戸田がいつから大人の女優になったかを考えると、2010年~2013年まで続いた『SPEC~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿~』シリーズが“戸田恵梨香第一章”の終着点だったように思える。主演であり、女優・戸田恵梨香の代表作とだけあって、若さとともに培って来た演技のバリエーションなど、女優としての技をすべて出し切ったような、そんな印象を受けた。『SPEC』以前と以降で“何か”が変わったのだ。たとえるなら、ガッチリ構えていたファイトスタイルが、ノーガード戦法に変わったような、押しの演技から引きの演技に変わったと言うべきか。


 世間が戸田を大人の女優として認識したのは、2016年公開の『デスノート Light up the NEW world』だろう。2006年の『デスノート』が戸田の映画デビュー作で、弥海砂役はシリーズ計4本に出演するほどヒロインとしての当たり役。10年前の前作ではアイドル活動をしていたミサが、現在は女優として活躍しているという設定だった。「今作では10年前に戻って演技するべきか? それとも進化させていくべきか? とても悩みました」と話していた戸田。大人っぽくなったミサが常に儚げで、最後まで前作の主役である夜神月を想い続けるという抑えた演技が実に魅力的だった。シリーズの中でも成長した役柄なので当然とも言えるが、若い俳優たちとの共演で女優としてのベテランぶりも見せた。


 デビューから10年後も同じ役ができるというのは最近では珍しい。『デスノート』や『LIAR GAME』、『SPEC』、『奇跡の動物園~旭山動物園物語~』など、戸田が出演するドラマや映画は、続編やシリーズ化する作品が目立ち、それゆえにほかの役者よりも成長による変化が明瞭だ。また続編といえば、7月より放送予定の『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命- 3rd season』(フジテレビ系)もそのひとつ。1作目が2008年に放送されたので、今回はシリーズ9年目かつ7年ぶりの放送となる。戸田のほか、山下智久、新垣結衣、比嘉愛未、浅利陽介とオリジナルメンバーが再集結。それぞれ成長した役者たちが、ドラマの中でどんな大人になっているのか。戸田とは逆にガッキーは役者として若返った印象があるので、そういった出演者たちの変化も楽しみだ。


 『リバース』と『無限の住人』で違うパターンの落ち着いた演技を見せ、すっかり大人の色香漂う魅力的な役者になった戸田恵梨香。2017年は女優としてさらなる飛躍の年となる予感だ。(文=本 手)