2017年05月18日 10:34 弁護士ドットコム
人気YouTuber「はじめしゃちょー」が5月14日に投稿した、自宅に400kgの牛フンを送りつけられるイタズラにあったという動画が、470万回以上再生されるなど話題になっている。
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はじめしゃちょーは、3月末から約1カ月半、活動を休止。今回の動画は、休止中に起きた「ヤバいこと」をランキング形式で伝える5分弱のもので、1位になったのが「約400kgの牛フン堆肥が送られてきたこと」だった。
動画によると、堆肥はAmazonから代引きで届き、はじめしゃちょーが「4万円ぐらい」を払ったそうだ。はじめしゃちょーはAmazonに電話。送り主の住所を特定したうえで、代引き商品が今後届かないように設定したという。
番組のテロップでは、「Amazonさん、配達業者さんから訴えられるかもしれないのでやめましょ…」との注意喚起もあった。イタズラ目的で第三者に商品を送りつけたら、どんな法的問題が発生するのだろうか。冨本和男弁護士に聞いた。
ーー代引きで受け取ってしまった商品は返品できる?
売買が成立するためには、「売ります」「買います」という意思表示の合致が必要です。本人が注文という購入の意思表示をしていない以上、売買契約は成立しませんから、返品できますし、支払った代金の返還も請求することができます。
ーー相手に商品代金や慰謝料を請求できる?
代金を支払っていた場合、代金を請求することができますし、正体不明の人からいきなり400kgもの牛フン堆肥を送りつけられれば、恐怖を感じるのが普通ですから精神的損害について慰謝料を請求できると考えます。
ーー犯罪にはならないの?
相手を怖がらせるために送りつけたのであれば、脅迫罪が成立する可能性があります。今回自宅に送りつけられたということですが、仕事を妨害するために送りつけたのであれば、威力業務妨害罪が成立する可能性もあります。
さらに、はじめしゃちょーに対する好意の感情が満たされず、怨みを晴らすために送りつけたということなら、ストーカー行為等の規制等に関する法律違反にもなります。
ーーAmazonや配達業者に対する犯罪にはならない?
策略をもってAmazonの出品サービスや配送業者の配送業務を妨害していますので、偽計業務妨害罪で訴えることができると考えます。また、民事でも、損害を被ったことについて主張・立証できれば、損害賠償なども請求できるのではないでしょうか。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
冨本 和男(とみもと・かずお)弁護士
債務整理・離婚等の一般民事事件の他刑事事件(示談交渉、保釈請求、公判弁護)も多く扱っている。
事務所名:法律事務所あすか
事務所URL:http://www.aska-law.jp