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欅坂46主演ドラマ『残酷な観客達』への期待 前作『徳山大五郎~』からグループはどう変化した?

2017年05月17日 18:53  リアルサウンド

リアルサウンド

(c)「残酷な観客達」製作委員会

 欅坂46主演の連続ドラマ『残酷な観客達』(日本テレビ系)が、本日5月17日の深夜より毎週水曜に放送される。同グループの主演ドラマは、昨年7月に放送された『徳山大五郎を誰が殺したか?』(テレビ東京)に続き2度目のこと。


参考:欅坂46 平手友梨奈はセンターの重圧をどう乗り越える? 乃木坂46 生駒里奈の歩みと比較考察


 デビュー曲「サイレントマジョリティー」で、ファンとアイドルシーンに絶大な衝撃を与えてから約3カ月、異例の早さで主演した『徳山大五郎を誰が殺したか?』。同作はミステリー&コメディ調の学園ドラマであり、10代の女子が抱える思春期の繊細な心と秘密を、映画『告白』や『渇き。』のような冷たく乾いた世界観で表現。主題歌を務めた2ndシングル曲「世界には愛しかない」の<最初に秘密を持ったのはいつだろう? 大人はみんな嘘が多すぎて忘れてる>というポエトリーリーディングから始まる、思春期特有の大人への反抗心や葛藤は、ドラマと欅坂46のイメージをより色濃いものにしていた。


 また『徳山大五郎を誰が殺したか?』では、各メンバーが本名のまま出演したことも、楽曲だけでは見えてこなかった彼女たちの個性を表現し、世間に伝えることができた。主役である平手友梨奈を中心に物語は進み、殺人事件の犯人を捜していく。同作で平手は演者としての才能を証明、理屈抜きのカリスマ性が演技を通して裏付けされた。また、平手に並ぶ逸材との呼び声も高い長濱ねるも注目を集めた。長濱は欅坂46の追加メンバーで、唯一「サイレントマジョリティー」の選抜メンバーに入らず、長濱を中心とするユニットでカップリング曲「乗り遅れたバス」を歌った。長濱は楽曲の意味深なタイトルと同じく、最初はクラスにいない不登校の女子という設定でドラマに登場。最初に犯人だと疑われ、長濱自身もクラスメイトを煙に巻く行動を連発し疑惑の中心人物となっていく。平手に対する存在として、欅坂46での境遇とリンクするような役を見事に演じきっていた。


 ほかにも、お嬢様育ちと言われている菅井友香が、多額の献金で裏口入学の疑惑が持たれる役を演じ、2017年にファッション誌『non-no』の専属モデルになった渡邉理佐が、おしゃれグループのリーダー役を演じるなど、実際のキャラクターがドラマのキャラにも反映されていた。さらに秋元氏から「あれだけポンコツでも、何か憎めないものを持っている」とお墨付きの渡辺梨加も、ドラマの序盤でイメージ通りのキャラを展開していたが、最後に想像を超えた覚醒ぶりを見せた。


 “演技とは何か?”というワークショップから始まったメンバーたちは、放送を終える頃にはアイドルとしても役者としても成長。また、欅坂46は“大人への反抗”というイメージを持たれがちだが、大人たちに惑わされず、自分たちで道を切り開こうとする強い意志を感じることができた。デビューから間も無くしてグループとメンバーの個性を多くの視聴者に伝えることができたのは、グループにとっても大きな出来事だった。



 そして約1年ぶりに主演する『残酷な観客達』も、『徳山大五郎を誰が殺したか?』と同様に一期生が総出演し、学校の教室を舞台に繰り広げられるシチュエーションミステリー。しかし、それぞれのメンバーに役名が付くことが前作との大きな違いだ。内容の差別化という狙いもあるだろうが、デビューから2年弱の間に起きた彼女たちの急成長と、世間に知名度が浸透してきたという自信の表れのようにも感じられる。


 別の誰かを演じることは、女優としての器量が試される。主題歌の「エキセントリック」(4thシングル「不協和音」収録曲)は、インターネットによって情報が一人歩きし拡散することへの集団心理や、レッテル貼りなどにうんざりし、変わり者でいいから放っておいてと歌った楽曲だ。アイドルの持つ偶像という意味が色濃く表現されている欅坂46は、『残酷な観客達』で我々にいったい何を訴え、どこへ導いてくれるのか? 彼女たちにとって同ドラマが、次のステージへむかう新たなステップになることは間違いないだろう。(本 手)