F1シーズンを転戦していると普段見かけない人との出会いがある。そんな人に、「あなたは何しに、レースに来たのか?」を尋ねてみる特別企画。今回は、F1第5戦の舞台、スペインを第二の母国のような場所だと語るパストール・マルドナドだ。
いまから5年前の2012年、F1スペインGPで大仕事をやり遂げたドライバーがいた。
2012年のスペインGPで自身初優勝を達成しただげなく、古豪ウイリアムズに2004年以来、8年ぶりの優勝をもたらしたパストール・マルドナドである。そのマルドナドが久しぶりにF1のパドックにやってきた。
「どうして来たのかって? そりゃ、ここはF1で初優勝したところで、良い思い出がたくさんある第二の母国のような場所だからね」
「自宅があるモナコからも近いし、一緒に仕事した仲間たちにも会いに来ようと思ってね」
マルドナドが最後にF1でレースしたのは2015年。その後、何をしていたのだろうか。
「昨年は1年間、ピレリの開発のためにテストしていたよ。今年は一年間、何もしない」
「ずっとレースばかりしてきたから、今年は家族との時間を大切にすることにしたんだ」
そう言うマルドナドの傍らには、妻と愛娘のビクトリアちゃんの姿が。
2013年の9月に生まれたビクトリアちゃんを最後に見たのは、2015年のアメリカGP。まだ2歳だったビクトリアちゃんは、いつもベビーカーに乗せられ、おしゃぶりをしていたが、今年で4歳となる今はおしゃぶりも取れ、パドックを元気に歩き回っていた。
そんなかわいいビクトリアちゃんと妻との時間を大切にしたいと思う気持ちは理解できるが、マルドナドの頭の中にはもうレースはないのだろうか。
「いやいや。そんなことはない。またレースをやりたいし、そのためにトレーニングも続けている。今回、スペインGPに来たのも、そのための情報収集も兼ねているんだ」
そう言うと、マルドナドはウイリアムズなど、いくつかのチームのモーターホームを渡り歩いていた。もちろん、自宅があるモナコで行われる次戦モナコGPにも行くそうだ。
スペインGPが終了した翌日。バルセロナの空港へ行くと、再びマルドナド一家に遭遇。
空港は広いためか、ビクトリアちゃんはベビーカーに乗っていたが、そのベビーカーを押していたのはマルドナドだった。くれぐれもコースアウトしないよう、安全第一で押してもらいたい。