「電車内などで痴漢に間違われたら、逃げた方がいい」――ネット上でこのような噂を聞いたことはないだろうか。そのためか痴漢を疑われた人が逃走する事件が相次いでいる。
5月に入ってからだけでも11日にJR新橋駅のホームから痴漢を疑われた人が線路に飛び降りて逃走。12日にはJR上野駅から逃走した40代男性が、その後近くのビルから転落して死亡した。そして、16日にも東急田園都市線青葉台駅のホームから線路に飛び降りた男性が電車にはねられて死亡するなど、異様な事態になっている。
そんな中、オープン2ちゃんねるに5月15日、「電車って男女別にするべきだよな」というスレッドが立った。女性専用車両だけではなく、男性専用車両も作れば「痴漢も痴漢冤罪も解決する」というのだ。
「車両ごと分けるだけだから、カメラ設置と違って金掛からんし」
「痴漢で一々車両止めなくていいし事故も減るしで鉄道会社側も助かるだろ」
とスレ主は書き込んでいる。
「男女分けたら通勤ラッシュのとき大変」という意見も
これについてスレッド内では肯定的な意見が多く見られた。
「これホントやってほしい。男も女もメリットしかない」
「冤罪だけは勘弁してほしいから男性車両に喜んで乗るよ。ほんと迷惑だし痴漢なんぞしたくもない」
痴漢の疑いで逮捕されると、たとえ無実でも私生活だけでなくキャリアにも影響が出てくる危険性がある。これだけ痴漢冤罪が問題になっているのだから、そろそろ抜本的な解決策が欲しいところではある。そうした意味では男女別にして、そもそも痴漢が発生しようがない状態に持っていくのは有効ではありそうだ。
その一方で「分けたら通勤ラッシュのとき大変だろ」という意見も出ている。たしかにすし詰めのような通勤ラッシュ時だと、どの車両でもいいからとりあえず乗りたい、といった人も少なくはないだろう。
また、乗換の関係から特定車両に乗りたい人にとっては「車両分け」が遅刻に繋がる可能性もある。他にもLGBTへの配慮や、同性間でも痴漢が起こるのではと懸念する声も上がっていた。
現状の痴漢対策は女性専用車両と「防犯カメラ」が中心
現在、鉄道会社ではどのような痴漢対策が行われているのだろう。キャリコネニュースの取材に、東急電鉄担当者は
「厳密には『痴漢対策』と言えませんが、女性専用車両の運行や、車両内に防犯カメラを設置していることがそれに当たります」
と話す。防犯カメラについては一部の車両のみで、将来的には全車両に設置していく予定だという。
JR東日本では、2010年から痴漢が多い路線として知られる埼京線の一部車両に防犯カメラを設置。また、他の鉄道会社とも連携して「痴漢撲滅キャンペーン」としてポスターや構内放送で呼びかけを行っているという。
ただ、現在問題になっている痴漢疑惑からの線路逃走については、「線路内に立ち入らないで、と呼びかけはしています」(JR東日本広報担当者)と話すのみだった。ちなみに両鉄道、今のところ「男性専用車両」や「男女別車両」の導入は検討されていないという。