総務省が5月16日に発表した2016年度の家計調査「貯蓄・家計編」を受け、ネットで驚きの声が上がっている。1世帯あたりの平均貯蓄額が1820万円と4年連続で増加し、比較可能な2002年以降で最も高い数字になったためだ。
「いやこれ一桁多いだろ」「中央値でも1064万円か。そんなもってねーよ」など、額の大きさが自分の生活実態とかけ離れていると感じる人も多い。
発表資料を詳しく見たところ、一部でも予想されていたように、高齢者層が平均値を釣り上げている実態が判明した。
高齢無職世帯の平均貯蓄額は2363万円、退職金の影響?
勤労者世帯(59歳まで)に限って見ると、平均貯蓄額は1299万円と前年度より0.8%減少した。世帯全体の平均貯蓄額1820万円に最も近い1800万円を基準に、勤労者世帯の分布を見ると、77.8%の世帯で平均以下の貯蓄額となっている。
また、勤労者世帯では、貯蓄が「100万円未満」の世帯が12.8%と最も層が厚く、全体として、貯蓄額が低いところに偏った分布になっていると分かる。
一方で高齢者世帯(60歳以上)では「4000万円以上」(18.6%)の占める割合が最も多く、勤労者世帯とは逆に、全体として額が高いほうに偏った分布になっている。1800万円より平均貯蓄額が多い世帯は44.5%にものぼり、高齢者世帯だけの平均値も2385万円と高い。
また、高齢者世帯のうち、無職の世帯の平均貯蓄額は2363万円だ。これは退職金の影響が大きいと推察される。
貯蓄が多い世帯ほど、有価証券や生命保険などで資産を形成する傾向
貯蓄額によって、お金の貯め方も違ってくる。現在の貯蓄額と貯蓄方法の関連を調べたところ、貯蓄額が低い世帯ほど普通預金に依存する程度が高く、額が大きくなるにつれて、定期預金や生命保険、有価証券などで資産形成している割合が増える。
ある程度余裕のある世帯は時間をかけて着実に資産を形成しようとしていることがうかがえる。富める者がますます富み、更なる格差が広がるのではないかと懸念される。