偉大な父、トムの遺伝子を受け継ぐショーン・ウォーキンショー。ドライバーとは別に自身のチーム運営にも携わる。 世界的にもますます存在感を高めているスーパーGT、スーパーフォーミュラ、そして全日本F3。今年、日本でのレースにデビューを果たした新人外国人ドライバーを毎回ひとりピックアップして紹介する連載企画。日本に来たきっかけや、日本でのレースの印象を始め、プライベートの生活などなど、彼らのキャラクターを引き出します。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
第3回となるこの連載に紹介するのは、ARTA BMW M6 GT3で高木真一とコンビを組むショーン・ウォーキンショー。その名字から分かると思うが、あのトム・ウォーキンショーの息子である。もちろんレース界ではビッグネーム。だが、本人は偉そうなところなど皆無で、毎回エコノミークラスで来日しているのであった。
「僕がレースキャリアをスタートしたのは2010年。イギリスのフォーミュラ・ルノーが最初だった。でも、それ以前にほとんどカート経験はなかったんだよね。一度だけフランスの国内戦に出たぐらいで、ほとんど練習もしていなかった。で、16歳か17歳の時から2年間、イギリスのフォーミュラ・ルノーに出たんだけど、最初の年は大変だった。カート経験もなく、何も知らなかったから、そこからクルマのことやサーキットのことを学んで、毎年多くの面で成長できたと思う」
1993年イギリス生まれのショーン。今年で24歳を迎えるが、ハコ車、スポーツカーに乗り出したのは2015年からと、最近ことだという。
「その後、2013年に『ユーロ・フォーミュラオープン』というスペインF3がベースとなっているレースに出たんだよ。最初の年は、コッパクラスと呼ばれる国内カテゴリーに出て、F3のクルマのことを学んだ。それからカンポスレーシングで最新のF3に乗った後、2015年にニッサン系のチームからGT3のレースに乗るようになったんだ。最初の年は、すごくいい年だったんだよ。でも、あまりにも不運が続いて、なかなか好成績を上げられなかったんだ」
「その後、RJNに移って、ブランパンに再度挑戦した。その時の経験が今年のスーパーGTにつながった。スーパーGTに来ることになったのは、F1時代から(鈴木)亜久里さんと付き合いがあったっていうこともあるし、他にも過去にブリヂストンと仕事をしたことがある知り合いなんかがいたから。そういう面で、コネクションもあったし、運もあったね」
スーパーGTについて、どんな印象を受けたのか?
「レベルが高くて驚いたし、タイヤ戦争があるっていうのが初体験。こういう経験はヨーロッパではできないし、タイヤのことをもっと学ばなければって思った。それに、テストからファンの人たちが大勢来ていたのも、ものすごく印象的で独特のものだと思ったね」
さて、そんなウォーキンショー選手は、実はドライバーであるだけでなく、チームオーナーでもある。父・トムが他界した後、彼のチームを引き継ぎ、“ショーン・ウォーキンショー・レーシング”として運営しているのだ。
「やっていることは他のチームボスとまったく同じだと思うよ。うまくチームが回るようにマネージメントしなくちゃならないし、チームボスとしてはいいドライバーを見つけ出すことも大切な仕事。チームを維持していくためにやらなければならないことは多いから、今年はレースのために来る日本とヨーロッパを何回も往復しなければならない。すごくたくさんマイルが溜まるよね(笑)」
将来、自分のチームでスーパーGTに参戦する可能性は?
「ん~。今のところ、それは難しいかな。ただ、僕のチームはオーストラリアGTでも活動していて、ポルシェを走らせているんだよね。だから将来、たとえば鈴鹿10時間耐久レースとか、そういうレースにチームとして参加できたら素晴らしいだろうね」