大気汚染が地球規模で取り組むべき深刻な課題となるなか、大気汚染物質をインクとして再生した「Air Ink」のように、やむをえず発生した大気汚染物質を、有効に活用しようという試みもみられるようになってきた。
そして、このほど、汚染された大気をもとにエネルギーを生成する画期的なデバイスが話題となっている。
・大気を浄化しながら水素燃料を生成するデバイス
ベルギーのルーヴェン・カトリック大学とアントワープ大学の共同研究チームは、2017年5月、汚染された大気を水素燃料に変換するデバイスを開発した。
このデバイスの内部を2つの空間に区切っているのは、光の照射で触媒作用を示す“光触媒”の膜。
大気汚染物質を含む空気が、光に照射された膜を通過すると、空気を分解しながら水素を生成する仕組みとなっている。
生成された水素は貯蔵し、水素自動車などの燃料として活用できるというわけだ。
・実用化に向けてさらなる研究に取り組む
研究チームでは、今後、光触媒の水素発生効率を高めるべく、膜の素材の改良をすすめるとともに、実用化に向けてデバイスのサイズの拡大などに取り組む方針。
このデバイスは、大気の浄化と再生可能エネルギーの生成という“一石二鳥”を実現している点が秀逸といえるだろう。
KU Leuven